著者
森 光寿 立石 小百合 戸谷 永生
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.82-89, 2011 (Released:2011-07-02)
参考文献数
23

【目的】大量調理に使用される揚げ油の劣化に関するデータを収集し,揚げ油劣化の簡便な検査方法について検討する。【方法】大学内食堂で連続的に揚げ作業に使用している油の化学性状分析と色相の測定を行った。【結果】本大学食堂の揚げ油は,1日に3時間,連続9日間使用される場合,酸価(AV)は食品衛生法に定められる範囲内にあり,カルボニル価(COV),極性化合物量(PC),トリアシルグリセロール量(TG),色相はそれぞれ2~10,5~18%,90~98.5%,G1~12となった。AV,COV,PCと色相ガードナーの変化の相関性は高かったが,AV,COV,PC,色相ガードナーとTGの変化は相関性が低かった。【結論】本大学食堂で揚げ調理に使用される油のAV,COV,PCと色相ガードナーの変化はよく相関するため,測定が簡便・安価な色相ガードナーを,揚げ油劣化の進捗を測定する方法として調理現場で利用可能なことが示唆された。
著者
戸谷 永生 渡辺 晃 大場 健吉
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.328-331, 1987
被引用文献数
1 16

r-リノレン酸やイコサペンタエン酸のような高度不飽和脂肪酸は, 現在, 微生物を用いて大量に合成されるが, アラキドン酸の生産法は低収率のため, まだ検討の余地があると考えられる。アラキドン酸含有脂質を効率よく得るために, <I>Martierella alpina</I>をポテトペースト・デキストロース培地上で培養する際の詳細な条件を, 培地中のデキストロース濃度, 微量金属の添加, 培地層厚, pHの点から検討した。その結果, 菌糸と菌床を6%のデキストロースとCaCl<SUB>2</SUB>・2H<SUB>2</SUB>O 750mg/kg培地を含む厚さ2mmの培地上で, 20℃20d間培養する条件を選定した。乾燥菌体よりそれらの脂質を抽出し脂肪酸分析したところ, アラキドン酸の収量は13.1g/kg培地となった。