著者
児島 雅博 村瀬 誠 戸谷 精一 杉本 勝之
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.471-476, 1992-06-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
19
被引用文献数
8 6

手延べ麺と機械麺のグルテンの組織構造の差異を走査型電子顕微鏡によって検討した.α-アミラーゼ処理によって,澱粉粒の一部を除去することで,乾麺のグルテン組織は容易に観察できた.(1) 手延べ麺表面では繊維状になったグルテン組織が延伸方向に配向し,澱粉粒の一部が,この繊維状のグルテンによって保持されていた.一方,縦断面では,グルテンの澱粉粒を覆っていたと思われる帯状の構造が認められた.(2) 機械麺表面では規則的な組織構造は認められなかった.縦断面では,グルテンは澱粉粒を包み込むような球面状の構造を呈していたが,延伸方向に対する配向性は認められなかった.(3) ゆで麺を同様に処理して観察した結果,ゆで処理によってグルテンは若干膨潤するものの,手延べ麺のグルテンの繊維性,配向性及び機械麺のグルテンの球面状構造が認められ,乾麺でのグルテンの組織構造はゆで後においても保持されていることが明らかになった.従って,麺の組織構造は乾麺をα-アミラーゼ処理して観察することが適当と考えられた.