- 著者
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扇谷 明
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.4, pp.648-657, 1997-08-10
側頭葉てんかんでは,発作症状として情動発作があり,発作間欠期にはしばしば情動変化がみられる。情動発作としてよくみられるものに,発作性恐怖,発作性うつがあり,稀なものとして発作性快(性的オルガスムを含む),笑い発作がある。またよくみられるdreamy stateは,本質的には親密感familialityの変容としてとらえられるため,情動発作といえる。これらの脳における座として,扁桃体がもっとも関与していることがわかり始めた。それは最近,盛んに行われるようになった側頭葉切除術の結果である。この側頭葉てんかんにおける情動変化のメカニズムとして,LeDouxが新たに証明した視床―扁桃体の直接経路を援用すれば,理解されやすい。しかし,情動が認知・行動レベルに及ぼす変化を考慮する場合,他の大脳の領野,とりわけ前頭前野,海馬などのネット・ワークが必要となる。