著者
斉藤 早苗 末原 紀美代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.571-581, 2007-01
被引用文献数
1

就労女性を対象に性感染症(STI)に関する知識・意識について,無記名自記式質問紙調査を実施し,有効回答410名(有効回収率41.3%)を分析した。STIの知識は,1)正答率50%以下の項目は,HIVに関して27.3%,HIV以外のSTIに関して42.9%あった。2)20代以下は30代よりも知識得点が低かった。3)HIV,梅毒,淋病,クラミジアは70%以上が「感染する」と回答したが,他のSTI疾患の認知度は低かった。STIに関する意識は,4)自己のSTI感染の可能性について「まったくない」「非常に低い」と認知している者が,HIVは76.3%,HIV以外のSTIは70.0%あったが,健康に対するSTI感染のおそれについては「かなりおそろしい」「非常におそろしい」と認知している者が,HIVは68.7%,HIV以外のSTIでは49.5%と差があった。5)未婚群は既婚群より,STI感染の可能性,健康に対するSTI感染のおそれとも認知度が高かった。6)STIに関して情報希望,相談や学習会参加希望などのニーズが存在した。以上の結果から,就労女性に対してSTI予防活動を積極的に推進する必要性が示唆された。
著者
斉藤 早苗 町浦 美智子 末原 紀美代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.223-230, 2007-07

未婚就労女性221名を対象に,Beckerの保健信念モデル(Health Belief Model:以下HBM)を基盤にし,社会的認知理論の自己効力感を用いて,性感染症(sexually transmitted infections:以下STI)予防のためのコンドーム使用の自己効力感に関連する要因を分析した。対象者の平均年齢は27.5±5.02歳,性交経験率は82.4%であった。避妊をいつも実行している割合は47.5%で,最も多い避妊法はコンドーム法71.9%であったが,91.0%がコンドームを携帯したことがなかった。過去1年間にSTI予防でコンドームを使用した割合は30.1%であった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感ありの女性の割合は71.5%であった。しかし,そのうち88.8%がコンドームを携帯していなかった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感は,STIへのおそれの認知,コンドーム使用の負担感,一般性自己効力感,性交経験の有無,STI目的でのコンドーム使用と関連があった。本研究の結果,未婚就労女性に対して,効果的なSTI予防活動を実施するためには以上の関連性を考慮した看護介入の必要性が示唆された。