著者
大平 肇子 町浦 美智子 斎藤 真 村本 淳子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.497-504, 2013-01
参考文献数
31

月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)は多くの女性が経験し,女性のquality of Lifeを低下させている。PMS症状はストレスと関連するため, PMS症状の緩和にはストレス反応を和らげる方法の1つであるリラクセーション法が有効であると考えられる。本研究の目的は, PMS症状を有する女性(以下, PMSの女性とする)に対する呼吸法のリラクセーション効果を明らかにすることである。20〜38歳のPMSの女性(呼吸群20人,対照群20人)を対象に,呼吸法の実施前後に生理学的および心理学的指標を用いリラクセーション効果を測定した。なお,測定は1月経周期(約1ヵ月間)の呼吸法の練習期間を経た後に行った。その結果,呼吸法実施後は,実施前に比べ副交感神経活動の指標であるHFが有意に増加し(P=0.006),ストレス指標である唾液コルチゾールは有意に低下した(P=0.010)。気分状態を示すMOODの「緊張と興奮」「爽快感」「疲労感」「抑うつ感」「不安感」では全因子において有意な変化がみられた(P=0.000)。とくに呼吸群の「爽快感」は対照群と比較して有意に増加した(P=0.036)。以上の結果からPMSの女性に対して呼吸法は,リラクセーション効果をもたらすことが明らかとなった。
著者
斉藤 早苗 町浦 美智子 末原 紀美代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.223-230, 2007-07

未婚就労女性221名を対象に,Beckerの保健信念モデル(Health Belief Model:以下HBM)を基盤にし,社会的認知理論の自己効力感を用いて,性感染症(sexually transmitted infections:以下STI)予防のためのコンドーム使用の自己効力感に関連する要因を分析した。対象者の平均年齢は27.5±5.02歳,性交経験率は82.4%であった。避妊をいつも実行している割合は47.5%で,最も多い避妊法はコンドーム法71.9%であったが,91.0%がコンドームを携帯したことがなかった。過去1年間にSTI予防でコンドームを使用した割合は30.1%であった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感ありの女性の割合は71.5%であった。しかし,そのうち88.8%がコンドームを携帯していなかった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感は,STIへのおそれの認知,コンドーム使用の負担感,一般性自己効力感,性交経験の有無,STI目的でのコンドーム使用と関連があった。本研究の結果,未婚就労女性に対して,効果的なSTI予防活動を実施するためには以上の関連性を考慮した看護介入の必要性が示唆された。