著者
小美濃 幸司 遠藤 広晴 種本 勝二 白戸 宏明 澤 貢 武居 泰 斎藤 寛之
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.126-134, 2009-04-15 (Released:2010-10-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

定常風が立っている人へ及ぼす力学的影響について調べるため,大型低騒音風洞で被験者に風を当て,姿勢保持限界風速等を測定した.姿勢を保持できない被験者の割合は,特定の風速を超えると急激に増加し,その増加の程度は立つ向きに依存した.身体の抗力は風速の2乗に比例し,姿勢を傾けないと立っていられない風速は,風下向きで16 m/s,横向きで19 m/sであった.列車駅通過時の風であると想定した場合に「許容できない」とした被験者の割合も同様に風速に伴って増加した.簡易な剛体人体モデルを仮定し,定常風について姿勢保持限界風速を推定したところ,推定値は実測値より小さくなった.一方,既報の一過性変動風データについては推定値と実測値とがよく対応することがわかり,定常風よりも一過性変動風のほうが剛体に近い動きとなると考えられた.