著者
湯元 清文 斎藤 尚生 中川 朋子 平尾 邦雄 青山 巌 瀬戸 正弘 YUMOTO Kiyohumi SAITO Takao NAKAGAWA Tomoko HIRAO Kunio AOYAMA Iwao SETO Masahiro
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: 太陽風と彗星の相互作用研究報告 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-57, 1986-09

「さきがけ」に搭載されたリングコア磁力計は, Halley彗星最接近時の磁場変化や微小IMF変動を成功裡に観測した。この日本初の深宇宙探査機に搭載する為に, 計画的な地上, 大気球, ロケット実験がなされた。これらの研究から, 飛翔体を用いた磁場測定における磁力計設計製作において次の五項目;(1) 磁力計自体の電気的精度, (2) 検出器の機械精度, (3) 飛翔体の磁気バイアス, (4) 飛翔体の姿勢精度, (5) データ伝送量に留意し, 総合的な性能に仕上げる必要があることが確認された。
著者
斎藤 尚生 三澤 浩昭 佐藤 夏雄 赤祖父 俊一 Sun W. Deehr C. S.
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.233-258, 2009-11-30

地磁気嵐とその発生起源である太陽現象をペアとして捉える太陽・地球電磁関係物理学の手法に従い,従来のフレア型急始(Sc)嵐,コロナホール型緩始(Sg)嵐,フィラメント消失型Sc嵐のほかに,本研究では新たに次のような赤道横断磁気ループ型Sc嵐が見出された. 太陽の赤道を跨ぐ大きな磁気ループ(Transequatorial loop:TELと略称)が急激に膨張,爆発して,大規模なコロナ質量放出(CME)を発生させる事実は半世紀以上前から観測され,太陽のふち(limb)現象として,太陽物理学分野で大きく注目されてきた.このTEL型爆発は太陽のふち(limb)で頻繁に観測されるからには,太陽正面でも発生するはずであると推定して調べたところ,ディスク中心付近でかすかな線条構造が認められてから数日後に,地球で磁気嵐が発生していることが見出された.この線条付近ではフレアもフィラメントもコロナホールも認められなかったことから,これは新しいTEL型Sc嵐であると認定した.このようなTELは南北両半球にある黒点群または黒点消滅後の残留磁域とつながっているので,磁気ループの軸磁場の方向が求められる.この軸磁場は惑星間磁場(IMF)の強いBz成分を生むので,その地磁気嵐構成への影響について調べた.TEL型Sc嵐については,将来様々な興味深い研究成果が期待されるが,現時点で考えられる様々な課題についての提言がなされた.
著者
斎藤 尚生
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.69-87, 1986-09

太陽光球面(γ=1 R_<&ofcir;>)には複雑な磁場が分布している。しかし太陽風がRADIALに吹き出す仮想的な球面(いわゆる流源面, γ=2.6 R_<&ofcir;>)まで離れると, 磁場分布は極めて双極子的になり, しかも流源面上では磁極が11年毎に「回転」反転することが実証された。流源面上でのこの系統的な変化の原因は, 勿論光球面磁場の大局的分布にあり, 特に回帰性地磁気嵐の現われる活動下降期には, 光球面緯度に, 観測し易い巨大斑磁場となって現われ, これが磁軸を傾けていることが分った(GBMR MODEL, GBMR=GIANT BIPOLAR MAGNETIC REGION)。さて今これらの関係を惑星磁場の成因に適用してみると, 流源面は惑星表面, 光球面は核表面に置き換えることができる。磁場が相対的に大きい水星, 地球, 木星, 土星の4惑星に対して, 水星の火山分布, 地球の低緯度HOT SPOT, 木星の大赤班が, 磁場の傾きに対して巨大斑磁場に対応する関係が見出された。従って太陽に関するGBMR MODELは, 少なくとも一部の天体の磁軸を傾けている原因を広く説明し得る可能性が生じてきた。