著者
新 大軌 吉田 亮佑 伊藤 貴康 大崎 雅史
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.101-107, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
7

本研究では、炭酸ナトリウムを添加した高炉スラグの反応に及ぼす水酸化カルシウムの影響について検討を加えた。水酸化カルシウムの添加によって高炉スラグと炭酸ナトリウムの反応は著しく促進された。また、高炉スラグの反応促進により、ペーストの流動性が低下することも明らかとなった。これは水酸化カルシウムと炭酸ナトリウムが液相で反応することで、炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムが生成し、生成した水酸化ナトリウムによって液相のpHが大きく増加することによって生じているものであると推察した。さらに、モルタルの圧縮強度とペーストの積算発熱量の間にはある程度の相関関係が認められることを確認した。
著者
宋 玄眞 新 大軌 細川 佳史 宮川 美穂
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.59-64, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1

初期強度を改善したFAセメントの材料設計のため、初期強度増進剤として3種類のアルカノールアミンがFAセメントの初期水和反応に及ぼす影響を検討した。全てのアルカノールアミンを添加したFAセメントで強熱減量及び水和発熱量は増加した。クリンカー鉱物中のC4AFの反応率が大きく増加し、C3S及びFAの反応性に及ぼすアルカノールアミンの影響は小さいことを確認した。また、アルカノールアミンを添加したFAセメントではAFmの生成が促進された。アルカノールアミンを添加したFAセメントは水和初期からセメントの水和反応が促進され、初期強度が増加すると推察された。
著者
緒方 英彦 兵頭 正浩 石神 暁郎 新 大軌
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.53-63, 2019 (Released:2019-09-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究では,積雪寒冷地で長期供用された鉄筋コンクリート開水路を対象に,凍結融解の繰返しを受ける側壁の気中部からコアを採取し,EPMAによる元素の面分析結果から,側壁の表面部と内部におけるコンクリートの変質について考察を加えた。その結果,表面部コンクリートでは,凍結融解の繰返し作用で発生したひび割れを通して水が侵入し,ひび割れ周囲でのカルシウムの溶脱,ひび割れを介して侵入した二酸化炭素によるカルシウムの結晶化および硫黄の拡散が見られ,内部コンクリートでは,ひび割れ近傍の気泡内部に溶出したカルシウムが結晶化しており,閉塞した気泡が存在することを明らかにした。