著者
根建 心具 榊 施祝 新妻 祥子 小玉 一人 掛川 武
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.77-77, 2004

表記ピルバラクラトンには太古代後期のMt Roe basaltは広く分布し、一部の地域の玄武岩には絹雲母-パイロフィライト変質帯が発達する。玄武岩噴出の直後の浅海で熱水変質作用が起こったと考えられる。本研究では、未風化のコアを使って玄武岩およびその変質帯の残留磁気を調べた。玄武岩の一部は安定な逆帯磁を保有していると考えられ580℃付近でキューリー点に達する。熱水変質を被った岩石の残留磁気は不安定で、抽出された安定成分も正帯磁と逆帯磁に分かれる。これらの測定結果から、1)Mt Roe玄武岩は磁鉄鉱系に属し、2.77Gaの地殻の一部は酸化的になっていた可能性がある。2)Mt Roe玄武岩噴出時、ピルバラ地域が現在と同じ南半球にあったとすれば地球ダイナモが働き、地球の磁場が逆転していた。このことは2.8Ga頃から地球の磁場強度が増加したとする説と調和的である。3)変質帯の岩石磁気が不安定で方位が一定しない理由は、変質作用の時期と性質が多様であるためか、後期の200∼300℃の広域変成作用によってそれぞれの磁性鉱物が特有の磁気的変化を起こしたためと考えられる。