著者
加賀美 英雄 徳山 英一 小玉 一人 満塩 博美
出版者
高知大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

南千島海溝と南海トラフの付加体を調べ、海洋地殼が破壊される深度に相違があることが分かった。それは10ー15kmの深度を境として、それより浅い脆性的変形領域とそれより深い準延性的変形領域に区別された。10ー15kmより浅いところで海洋地殼が破壊される南海型の付加体では、破断面に多数の微小クラックが非定向に集中して破壊されることから余震域の拡大率が大きな値を示す。また、海洋地殼がこのように浅いところで付加体に下付けされると、組み込まれた付加体の密度は比躍的に増加することになり、このことが南海マイクロプレート(前弧スリバー)が九州にむかって沈み込んでおり、豊後水道が形成されている一つの原因となっていると考えた。室戸岬西方の安芸海底谷断層は土佐沈降帯と室戸隆起帯を分ける構造線であることが明らかとなった。これより西側では更新世中期以降の竜王層群が堆積しているが、東側では基盤岩類が北東ー南西の高角逆断層によって変位している。室戸隆起帯の東側の野根海底谷断層から安芸海底谷断層までの35kmの間は一連の構造単位であり、繰り返し発生した歴史地震の境界が室戸隆起帯を形成したのだと考えると、西南日本にみられる波曲構造は地震断層の境界が原因であるとして理解できる。興津隆起帯も土佐湾を分割する地震断層の境界であることが明らかになった。この東の土佐沈降帯にある竜王層群の堆積盆の位置は下位の土佐湾層群のに比べて約10°も反時計回りに移動していた。興津隆起帯の隆起軸も時間変化に伴う移動がみられた。これは、更新世中期後にフィリピン海プレートの沈み込みが、北西へ転移したために南海トラフに対して斜め沈み込み運動をしたことに伴う諸々の変動;南海マイクロプレートの形成、西国山脈の隆起、モラッセ性堆積物の広範な分布、そして土佐湾では竜王層群の新しい堆積盆形成などの一つと考えられる。
著者
根建 心具 榊 施祝 新妻 祥子 小玉 一人 掛川 武
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.77-77, 2004

表記ピルバラクラトンには太古代後期のMt Roe basaltは広く分布し、一部の地域の玄武岩には絹雲母-パイロフィライト変質帯が発達する。玄武岩噴出の直後の浅海で熱水変質作用が起こったと考えられる。本研究では、未風化のコアを使って玄武岩およびその変質帯の残留磁気を調べた。玄武岩の一部は安定な逆帯磁を保有していると考えられ580℃付近でキューリー点に達する。熱水変質を被った岩石の残留磁気は不安定で、抽出された安定成分も正帯磁と逆帯磁に分かれる。これらの測定結果から、1)Mt Roe玄武岩は磁鉄鉱系に属し、2.77Gaの地殻の一部は酸化的になっていた可能性がある。2)Mt Roe玄武岩噴出時、ピルバラ地域が現在と同じ南半球にあったとすれば地球ダイナモが働き、地球の磁場が逆転していた。このことは2.8Ga頃から地球の磁場強度が増加したとする説と調和的である。3)変質帯の岩石磁気が不安定で方位が一定しない理由は、変質作用の時期と性質が多様であるためか、後期の200∼300℃の広域変成作用によってそれぞれの磁性鉱物が特有の磁気的変化を起こしたためと考えられる。