著者
新田 ゆき
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.173-176, 1975-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1) 加熱中断によるジャガイモ組織の硬化現象 (ゴリイモ化) について実験した結果, 55~70℃, 100分予加熱したのち, 100℃で再加熱したものは堅く, 破断力が増大した.しかし, EDTAを加えると予加熱しても柔らかく, 逆に, CaCl2 を加えたものは普通加熱でも破断力は著しく増大した.2) 予加熱したものでは, 水溶性ペクチンが普通加熱のものより明らかに少なく, 塩酸可溶性ペクチンは逆に多い傾向を示した.3) ジャガイモ以外の野菜, 果実の若干のものについても実験したが, 同様に60℃予加熱で顕著に破断力が増し, 水溶性ペクチンが減少した.4) 以上の現象の原因として, ペクチンメチルエステラーゼがペクチニン酸のメチル基を離し, フリーになったカルボキシル基が組織内の Ca++, Mg++ と架橋を作り堅くなるのではないかと想定している.
著者
末野 紀子 新田 ゆき
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.134-138, 1978-06-30
被引用文献数
3

1.生豚ひき肉に6種の香辛料を添加し,7日間冷蔵して脂肪の酸化度を測定した結果,ジンジャー,セージ,ローズマリー,クローブはよく酸化を抑え,ブラックペッパーは弱い効果を示し,ガーリックは酸化を促進した。同じ試料についてpHとトリメチルアミン量をも測定して防腐効果を調べたが,数値の上では若千の効果を示したが,官能的には効果は感じられなかった。2.生豚ひき肉に5種の香辛料を添加し,6か月冷凍貯蔵した場合,対照は6か月で脂肪の酸化曲線がかなり上昇したが,ローズマリー,セージ,ナツメグ,パプリカはよく酸化を抑え,ホワイトペッパーは弱い効果を示した。pHはいずれの試料も同じ値を示した。3.ひき肉に12種の香辛料およびソルビン酸,ソルビン酸カリ,ポリリン酸塩を添加し,加熱後3週間冷蔵して脂肪の酸化度を測定した結果,無添加試料では保存中酸化が急激に進んだが,香辛料添加試料はいずれも酸化が抑えられ,特にクローブ,セージ,ローズマリー,ジンジャー,オールスパイス,オレガノ,メース,タイムの効果が大きかった。ポリリン酸塩は若干の効果があり,ソルビン酸とその塩には酸化防止効果はなかった。これらの試料の一部についてトリメチルアミン量を測定した結果,ガーリック,ジンジャー,ローズマリー,クロ一ブ添加試料でいくらか生成量が少なかったが,防腐効果と言える程はっきりした差ではなかった。ソルビン酸は最も大きな効果を示し,ポリリン酸塩もいくらか効果があった。本研究の概要は第29回家政学会総会(1977)で発表した。