著者
新矢 将尚 紀 雅美 山口 之彦
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.58-62, 2020-04-25 (Released:2020-04-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1

指定外着色料の一つであるパテントブルーVによる,輸入食品の食品衛生法違反は後を絶たない.パテントブルー色素の名称で市販されているものには,化合物名が異なるものがある一方,複数の異なる化合物がパテントブルーの名称で市販されている場合もあるため,注意が必要である.パテントブルー色素と推察される市販色素9品について,TLC,HPLC,LC-MS/MSで分析したところ,いずれの方法でもパテントブルーV,アズールブルーVX,イソスルファンブルー,アルファズリンAの4種に識別され,製品情報が不明瞭な試薬も同定された.パテントブルー群については,命名法を統一することで誤認の可能性を軽減できると考えられる.
著者
吉光 真人 内田 耕太郎 小阪田 正和 松井 啓史 上野 亮 藤原 拓也 阿久津 和彦 新矢 将尚
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.43-46, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
3

食品中のアフラトキシン分析法として,平成23年8月16日付け厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知(通知)に基づく分析法が定められている(以下,旧分析法).本研究では,アフラトキシン分析法の操作性と分析性能を向上させるために,イムノアフィニティカラム(IAC)の種類と精製条件の最適化,および旧分析法からIAC精製後の濃縮乾固の操作の省略を検討し,改良法の構築を目的とした.改良法を用いて,9種類の試料にアフラトキシンB1,B2,G1,G2の4種類を2.5 ng/gの濃度で添加して添加回収試験を実施したところ,真度は77.0~99.7%,室内精度および併行精度はそれぞれ,1.7~5.6%,0.9~3.6%となり,通知の目標値を達成した.また,旧分析法と比較して,改良法はアフラトキシン4種類の回収率が4.3~10.5%向上し,前処理時間が約1.5時間短縮された.以上から,改良法は9種類の食品に適用可能で,食品中のアフラトキシン分析法として有用であると考えられた.
著者
新矢 将尚 紀 雅美 山口 之彦
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.58-62, 2020
被引用文献数
1

<p>指定外着色料の一つであるパテントブルーVによる,輸入食品の食品衛生法違反は後を絶たない.パテントブルー色素の名称で市販されているものには,化合物名が異なるものがある一方,複数の異なる化合物がパテントブルーの名称で市販されている場合もあるため,注意が必要である.パテントブルー色素と推察される市販色素9品について,TLC,HPLC,LC-MS/MSで分析したところ,いずれの方法でもパテントブルーV,アズールブルーVX,イソスルファンブルー,アルファズリンAの4種に識別され,製品情報が不明瞭な試薬も同定された.パテントブルー群については,命名法を統一することで誤認の可能性を軽減できると考えられる.</p>
著者
岸 映里 油谷 藍子 尾崎 麻子 新矢 将尚 加田平 賢史 大嶋 智子 清水 充
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.111-116, 2013-04-25 (Released:2013-05-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づき,ホウレンソウのウラン(U)含有量を定量した.はじめに,マイクロ波分解装置を用いる有効性を検討し,マニュアル法と同等の定量値が得られることを示した.短時間で試験溶液が調製できることから,緊急時に対応するためには非常に有効であると考えられた.また,ICP-MS測定の際に2種類の内標準元素(TlまたはBi)が示されているが,低濃度のUを定量する場合は,よりUに近い感度変化を示すTlを用いるほうが望ましいと考えられた.ただし,試料によっては微量のTlやBiを含有するものがあるため,あらかじめ試験溶液中のそれらの量を確認する必要があることがわかった.平成23年4~5月に購入したホウレンソウ9検体のU含有量を定量したところ,いずれも10μg/kg以下であった.