著者
佐藤 幸子 織田 佐知子 新藤 一男 本西 晃 花里 匡史 数野 千恵子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.38, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】川魚として代表的なアユ(鮎)は、生育環境により香りが異なるため、味覚にも影響を与える。そこで、環境によるアユの不快臭を軽減する目的で、多摩川中流の河川水で飼育したアユとその河川水に炭(多摩産杉間伐材)を使用したろ過水で飼育したアユの香気成分を比較検討し比較を行なった。またそれらの官能評価を行い炭の効果を検証した。【方法】飼育アユ:約15gの養殖アユを多摩川中流の水および炭でろ過した水のそれぞれの水槽で約2週間飼育し約25gのものを使用した。餌:多摩川中流の水および炭でろ過した水に石を投入し藻を付着させたものを適宜アユの飼育槽に投入した。試料の調製:試料は1尾を細切後、10gをバイヤル瓶(20mL容)に密閉し、SPME法で香気成分を捕集しGC-MSおよびGC-O分析を行った。さらに、アユはオーブンで焼いた後、匂いの強さと味について官能評価を実施した。【結果】多摩川中流水で飼育したアユの香気成分から2,6-Nonadienal(キュウリ様の臭い)やPentadecene(メロン様の臭い)等のアユ固有の匂いに関与する物質やMethyl vinyl keton(カビ臭)等の不快臭に関与する物質が検出された。ろ過水で飼育したアユでは原水で飼育したアユに比較してMethyl vinyl ketonが少なくなった。官能評価では、加熱調理後の匂いは、原水で飼育したアユに比較してろ過水で飼育したアユの香りを弱く感じた人が多かった。しかし味のよさやアユの匂いは個人的な食経験により良否が左右された。なお、本研究は東京都産業労働局農林水産部島しょ農林水産総合センターの委託事業によるものである。