著者
吉澤 道夫 水下 誠一 日本学術会議 核科学総合研究連洛委員会原子力基礎
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.319-324, 1999 (Released:2010-02-25)
参考文献数
2
被引用文献数
1

放射線や放射性同位元素の利用は, 基礎及び応用の諸科学, 工業, 農水産業, 医療等の広い分野で進められ, 現在の社会にとって欠かすことの出来ない手段となっている。一方, 放射線や放射性同位元素はその発見当時から人体への影響が研究され, 不用意な被ぼくが悪影響を及ぼすことが知られてきた。このために, 安全のための規制が設けられ, その取扱いは厳重な管理の下に行われている。わが国で放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 (以下「放射線障害防止法」という。) が定められた当時, 放射性同位元素の利用は, 原子炉等で製造された物を入手して利用するという形態であり, 短時間に減衰し消滅する放射性同位元素は, 加速器を用いた原子核の研究など限られた場所と分野以外には利用の方法が無かった。このため現在の規制は, 短時間に消滅する放射性同位元素を扱うことを想定していない。近年, 医療の分野では, 加速器を用いて短寿命の放射性同位元素を製造し, 人体機能の研究や診断に用いる技術が大きく発展し, 生理学的・生化学的機能を調べる上で欠かすことの出来ない重要な手法となっている。このような手法が医療行為として行われる場合には医療法による規制を受け, 研究に用いる場合には, 放射線障害防止法の規制を受ける。しかし, 研究や診断に用いた短半減期放射性同位元素は短時間に消滅するので, 使用した器具, 投与した動物などは一定の短期間管理すれば, 現在のような放射線管理の必要はなく, その取扱いについて特別の考慮が必要である。このため, 当専門委員会では, 前期に引き続き今期当初より陽電子放出断層撮影 (PET) の使用に係る安全性について, ワーキンググループを設置し検討してきた。検討の結果PETに使用される短半減期放射性同位元素の使用に関する規制について以下のように適正化することを提言する。「短半減期放射性同位元素を用いた放射性薬剤として製造法が確立され, 長半減期放射性同位元素の混入してないことが確認された薬剤について, これを使用した器具, 投与された動物などは, 期間を定めて管理した後, 定められた測定方法により安全性が確認された場合, 放射性物質で汚染されたものとしての管理の必要のないものとして処理できることとする。安全性の確認法, PET用放射性薬剤以外の放射性同位元素の混入防止策等について指針を定めて早急に実施すること。」
著者
日本学術会議医用生体工学研究連絡委員会医療技術開発学研究連絡委員会
出版者
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
雑誌
BME : bio medical engineering (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.71-83, 1997-07-10
参考文献数
2
被引用文献数
2

今世紀における科学技術の発展は目覚ましく, 医学・医療の分野においても, X線CT(Computerized Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging, NMR CT)など各種医療機器の開発によって客観的計測・診断技術や制御・治療技術あるいは情報処理技術が提供され著しく高度化された. 医師にとっては「見えなかったものを見る」, 「聞こえなかったものを聞く」, 「手の届かなかったところに手を伸ばす」という夢が現実のものとなり, 診断や治療技術はかつてないほど急激に進歩しつつある. 医用生体工学はこうした医学と工学の接点に位置する学問で, 工学の医学への応用にとどまらず, "科学技術と, 人間を含む生物との共生"という考え方を広め, かつそれを可能にする技術の開発を目指している. 医用生体工学は比較的若い学問分野であるがこの数十年間, 大学や研究機関のエム・イー関連学科や講座の研究者あるいは日本エム・イー学会およびその関連諸学会に支えられて発展してきた. また日本学術会議の医用生体工学研究連絡委員会および医療技術開発学研究連絡委員会の活動などによって, 医用生体工学に対する学問的および社会的な評価が徐々に高まってきた. 医用生体工学の研究環境は欧米に比べて著しく遅れていたが, 最近になって大学院に医用生体工学専攻, 学部に医用生体工学専門学科が開設されるようになった. 最近の世界的な動向をみても, 工学系の各分野がこぞって研究領域を医用生体工学分野べ拡充しようとしている.<br>しかしながら, 科学技術の想像を越える急激な展開は人間と機械の共生について新たな問題を投げかけている. さらにより現実的な問題として, この分野でも, 先端的な研究へのニーズや, 研究者および指導者はもとよりコメディカル職員などの人材養成に対するニーズが高まり, それらに対する早急な対応が迫られるようになった. しかも十数年後には人類が経験したことのない速さで社会の超高齢化が始まる. わが国のように労働賃金の高い先進国において, 高齢者の看護のために, 医用生体工学機器の適切な援用は極めて有効であり欠くことができない. さらに医療技術の向上を図るばかりでなく, 人々の精神的に豊かな生活を支援するための活動をすべきである. また今日のわが国の国際的な役割を考えるとき, 医用生体工学分野の果たすべき役割は国内的なものにとどまらない. 諸外国の医用生体工学関連機関との交流をさらに深めるべきである. 現在, 国際社会は複雑化してきており, 広い意味での国の外交は高度な専門知識なしには成り立たない. 医療分野で世界に貢献するには, わが国が率先してWHOやユネスコなどの国連の機関を通じて活動を広める必要がある. このような平和的活動こそ我が国が国際社会から求められているものであり, そのために進んで貢献すべきものと考える.<br>近年生命科学分野における研究の重要性が叫ばれ, その推進計画は先進各国で活発に討議されて答はひとつである. 50年前, 産官学の密接な連係と強力な指導力の下で実行された「傾斜生産方式」であった. 今こそ再び産官学の密接かつ強力な指導性が求められている.
著者
日本学術会議編
出版者
大蔵省印刷局
巻号頁・発行日
1964
著者
日本学術会議編
出版者
丸善 (発売)
巻号頁・発行日
1959
著者
日本学術会議編
出版者
日本学術会議
巻号頁・発行日
1949
著者
日本学術会議
出版者
日本学術会議
巻号頁・発行日
1954