著者
厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)「新興・再興感染症のリスク評価と危機管理機能の実装のための研究」分担研究班 日本COVID-19対策ECMOnet(日本集中治療医学会日本呼吸療法医学会日本救急医学会)
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.447-452, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)
参考文献数
34
被引用文献数
3

2019年に発生した新型コロナウイルス疾患(coronavirus disease 2019, COVID-19)により急性呼吸不全を呈する重症患者管理の根幹は,呼吸機能低下に対する支持療法としての人工呼吸と体外膜型肺(extracorporeal membrane oxygenation, ECMO)である。COVID-19患者数が増加していることを踏まえ,臨床現場での参考となりうるECMOに関する標準的なケアの概要を,専門家のコンセンサスステートメントとして提案した。ECMO管理のための適応,管理方法および注意点を,資源制約のある場合を含めて記載した。
著者
日本救急医学会 熱中症に関する委員会
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.211-230, 2012-05-15 (Released:2012-06-15)
被引用文献数
3 2

日本救急医学会「熱中症に関する委員会」では,2010年6~8月に3回目の全国調査を行った。94施設(2006年の第1回調査では66施設)から収集した1,781例(同525例)の分析からは,日常生活中の高齢者の増加とその重症化が顕著であった。一方で,労作性熱中症患者は重症化が抑制された。スポーツ,労働における熱中症対策が進んでいるのに対し,温暖化,高齢化,不景気,孤立化などが進行しつつあり,高齢者の日常生活における熱中症の予防が重点課題といえる。今後も節電の夏が予想される中,今回の調査結果を生かし,家族,地域社会,行政などが協力して効果的な対策を立てる必要がある。また,熱中症の国際的な基準として使用できる診断基準,重症度分類,ガイドラインなどの策定を急ぐ必要がある。
著者
日本救急医学会 熱中症に関する委員会
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.846-862, 2014-11-15 (Released:2015-03-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

日本救急医学会熱中症に関する委員会は,2012年の夏季3か月間に全国103の救急医療施設から熱中症の診断で受診した2,130例について,あらかじめ指定したデータ記入シートを用いて臨床データを収集しその特徴を明らかにした。平均年齢は45.6±25.6歳(1~102歳),中央値42歳。平均年齢は男性 44.1歳,女性 48.5歳であった。 重症度ではI度:II度:III度は984:614:336(未記載196),作業内容ではスポーツ:仕事:日常生活・レジャーは494:725:630(未記載281),日なた:日陰:屋内は1165:54:831(未記載12)であった。死亡例は39例あり(不明2),熱中症を原因とする症例が28例であった。 なかでも重症例における後遺症発生率,死亡率は前回までの調査に比し一転して低下したことは,国を挙げての啓発活動や予防への取り組みが一定の効果を上げたものと推察できる。