著者
齋藤 和樹 前田 潤 Kazuki Saito Jun Maeda 日本赤十字秋田看護大学看護学部 室蘭工業大学工学研究科ひと文化領域
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.14, pp.29-34, 2010-03-31

2009年4月6日早朝に発生したイタリア中部地震後のイタリア赤十字社(IRCS)およびラクイラ大学で行っている心理社会的支援について、現地視察調査を行った。IRCSでは、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)の心理社会的支援プログラムとは別の独自の心理社会的ケアを行っていた。それらのいくつかは、「ユーモア」に基づいたものであり、「ドクトル・クラウン」という存在もあった。IRCSの心理社会的支援は、災害の生存者に対してのみならず、救援者に対しても行われていた。IFRCには、心理社会的支援のための十分な資器材がそろっていた。ラクイラ大学が行っていたサバイバーの精神的健康に関する調査には、グローバルスタンダードになっているGHQやIES-Rなどが含まれていた。
著者
伊藤 榮子 Eiko Ito 日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-5, 2013-03-31

3歳~13歳の子ども60人とその母親の生活習慣とStreptococcus mutans(以下Sm)とLactobacillus(以下LB)の定量測定レベルとの関係を知るためにA市郊外にあるB歯科診療所で治療を受けていた母子60組(120人)に対して質問紙による生活習慣の調査と、Dentocult SM Strip mutans (伊藤、2010)とDentocult LB SLIDE CULTUREによるテストを2010年1月~8月に行った。本稿はそのLB及びSmとむし歯に関わる報告である。結果は以下のようであった。1)母親のSmとLBのレベル、2)子どものSmとLBのレベル、3)母子のSmとLBのレベルの比較から、Smとむし歯の原因になるかもしれないLBには統計的な差はみられず、SmとLBは同等に相関性が高く関連性があると確認された。これらの細菌は主に母親や大人とのスプーン,箸等の共用により感染すると考えられた。このことから、母親と子どもがむし歯予防を実践して生活習慣を変えることに、より大きな関心を持ち感染から子どもを守るための保健行動にふさわしいSmと同様にLBについての事実を含む健康教育をする必要がある。
著者
阿部 範子 Noriko Abe 日本赤十字秋田看護大学看護学部
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.14, pp.23-27, 2010-03-31

子どもに対する虐待のニュースは鎮まることなく、様々な対策が取られる中、特に地域での連帯意識の希薄化などによる母親の社会的孤立を最大の問題ととらえ、育児支援とその評価の積み重ねが早急に必要であると考える。育児支援の実践報告では、子育てサークルへの参加によるメリット等が多く見られる。しかし、母親の育児不安の有無により、求められる子育て支援の在り方・内容・方法に違いが出てくる可能性があり、明らかにする必要があると考える。このたび乳幼児健診に参加した母親に対し、育児不安の有無により求める子育て支援サービスに違いがあるかどうかを知るために調査を実施した。求める子育て支援サービスとして「場所」「曜日」「内容」「支援者」の4項目を設定し比較した。結果、育児不安を持つ母親は持たない母親に比べ「自分の悩みを聞いてくれる場」としての育児支援サービスを望んでいること、特に常勤の母親、子どもが一人の母親、核家族の母親にその傾向が見られること、「子どもを預けられる場」を望んでいることが明らかになった。Abuse of children by parents has been reported by the media time and time again. Although various measures have been taken to resolve this problem, it seems necessary to note a motherʼs social isolation (especially due to the lack of a sense of togetherness with in the local community) as one of the most important issues associated with child abuse and to provide child care support, and conduct prompt and repeated assessments of the effects of such support. Reports published from child care support practitioners have often demonstrated the advantages of a motherʼs participation in child care circles or groups. However, the optimum style, designs and methods of child care support can vary depending on the presence or absence of anxiety about child care on the part of the mothers. The present study was undertaken to investigate whether or not child care support services desired by mothers participating in infant and child health check programs would differ depending on the presence or absence of anxiety about child care. In this survey, four elements of child care support services (place, day of the week, content and supporter) were analyzed in relation to the presence or absence of such anxiety. The survey revealed that mothers who were anxious about child care more frequently desired child care support services as "an occasion for talking about their problems related to child care" than did mothers who had no such anxiety. This tendency was particularly marked for mothers working full‑time, mothers having only one child and mothers living in a nuclear family (family consisting of parents and children alone). The mothers also desired a place where they can leave their children.