著者
志賀 くに子 SHIGA Kuniko 日本赤十字秋田看護大学
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Akita College of Nursing and Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.20, pp.77-80, 2016-03-31

秋田県における「性教育講座」は、1990年代の秋田県における10代の人工妊娠中絶率(15-19歳の女性人口1,000対)が全国平均より高い数値であったことに端を発している。この状況から秋田県教育庁・秋田県教育委員会では、秋田県内の全高等学校へ、性教育講座講師派遣事業を開始した。また秋田県医師会でも、秋田県の若年出産・中絶数の多さや日本におけるHIV/AIDS増加の現状をふまえ、2003年、性教育プロジェクト委員会を立ち上げ性教育派遣講座への医師派遣の窓口になった。中学校・高校での「性教育講座」では、生命の大切さ、性感染症、男女交際、妊娠・出産・避妊、妊娠中絶などについて、学校ごとの実態に即した講演が行われている。私は秋田県性教育研究会会員として2003年(平成15年)から県事業である「性教育講座」を担当している。この「性教育講座」の目的は、様々な性情報が氾濫するなかで性感染症や性に関する正しい知識を身に付け、社会的な風潮に流されることなく、正しい行動を選択できることである。講座では生命や生命を育む女性の心と身体について、そして自分を大切にし、他人にも思いやりをもつことを学習する。本稿では秋田県内の中学生・高校生を対象とした性教育講座の実際の一部を紹介している。
著者
齋藤 和樹 前田 潤 Kazuki Saito Jun Maeda 日本赤十字秋田看護大学看護学部 室蘭工業大学工学研究科ひと文化領域
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.14, pp.29-34, 2010-03-31

2009年4月6日早朝に発生したイタリア中部地震後のイタリア赤十字社(IRCS)およびラクイラ大学で行っている心理社会的支援について、現地視察調査を行った。IRCSでは、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)の心理社会的支援プログラムとは別の独自の心理社会的ケアを行っていた。それらのいくつかは、「ユーモア」に基づいたものであり、「ドクトル・クラウン」という存在もあった。IRCSの心理社会的支援は、災害の生存者に対してのみならず、救援者に対しても行われていた。IFRCには、心理社会的支援のための十分な資器材がそろっていた。ラクイラ大学が行っていたサバイバーの精神的健康に関する調査には、グローバルスタンダードになっているGHQやIES-Rなどが含まれていた。
著者
井上 忠男 Tadao Inoue 日本赤十字秋田看護大学
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.14, pp.79-87, 2010-03-31

赤十字標章は、武力紛争時において医療活動を行う組織、要員及び資機材を保護するために1864年のジュネーブ条約によりその使用が規定された国際特殊標章である。本研究は、同標章の使用と管理を規定する国際文書及び国内文書並びに解説書を網羅した文献集を編纂することにより、標章の使用と管理を行う関係機関がこれらの適正な運用を図ることに資することを目的にする。本稿は、標記研究の成果として平成22年3月に刊行の『赤十字標章ハンドブック~標章の使用と管理の条約・規則・解説集』([株]東信堂刊)の「はしがき」「目次」「凡例」のみを抜粋し、本研究の概要を解説したものであり、研究の全体像については同書を参照ください。The Red Cross emblem, which was first adopted as an international distinctive emblem in the Geneva Convention of 1864, has been exclusively used for protecting the medical services of military or civilian in times of armed conflicts and, after WWII, more widely used in peace time as well. This study is aimed at compiling the collective documents of international, domestic legal instruments and their major commentaries on the applied use of the Red Cross emblem. Henceforth to facilitate proper use/management of the emblem among parties concerned with helping secure a better implementation of the law governing the use of the emblem. This abstract summarizes the outline of study by extracting the "introduction," "contents" and "explanatory notes" from "The Handbook on the Red Cross emblem: documents and commentaries on its use," to be published in March 2010. As for the full contents of the study, please refer to the above Handbook.
著者
伊藤 榮子 Eiko Ito 日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-5, 2013-03-31

3歳~13歳の子ども60人とその母親の生活習慣とStreptococcus mutans(以下Sm)とLactobacillus(以下LB)の定量測定レベルとの関係を知るためにA市郊外にあるB歯科診療所で治療を受けていた母子60組(120人)に対して質問紙による生活習慣の調査と、Dentocult SM Strip mutans (伊藤、2010)とDentocult LB SLIDE CULTUREによるテストを2010年1月~8月に行った。本稿はそのLB及びSmとむし歯に関わる報告である。結果は以下のようであった。1)母親のSmとLBのレベル、2)子どものSmとLBのレベル、3)母子のSmとLBのレベルの比較から、Smとむし歯の原因になるかもしれないLBには統計的な差はみられず、SmとLBは同等に相関性が高く関連性があると確認された。これらの細菌は主に母親や大人とのスプーン,箸等の共用により感染すると考えられた。このことから、母親と子どもがむし歯予防を実践して生活習慣を変えることに、より大きな関心を持ち感染から子どもを守るための保健行動にふさわしいSmと同様にLBについての事実を含む健康教育をする必要がある。
著者
阿部 範子 Noriko Abe 日本赤十字秋田看護大学看護学部
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.14, pp.23-27, 2010-03-31

子どもに対する虐待のニュースは鎮まることなく、様々な対策が取られる中、特に地域での連帯意識の希薄化などによる母親の社会的孤立を最大の問題ととらえ、育児支援とその評価の積み重ねが早急に必要であると考える。育児支援の実践報告では、子育てサークルへの参加によるメリット等が多く見られる。しかし、母親の育児不安の有無により、求められる子育て支援の在り方・内容・方法に違いが出てくる可能性があり、明らかにする必要があると考える。このたび乳幼児健診に参加した母親に対し、育児不安の有無により求める子育て支援サービスに違いがあるかどうかを知るために調査を実施した。求める子育て支援サービスとして「場所」「曜日」「内容」「支援者」の4項目を設定し比較した。結果、育児不安を持つ母親は持たない母親に比べ「自分の悩みを聞いてくれる場」としての育児支援サービスを望んでいること、特に常勤の母親、子どもが一人の母親、核家族の母親にその傾向が見られること、「子どもを預けられる場」を望んでいることが明らかになった。Abuse of children by parents has been reported by the media time and time again. Although various measures have been taken to resolve this problem, it seems necessary to note a motherʼs social isolation (especially due to the lack of a sense of togetherness with in the local community) as one of the most important issues associated with child abuse and to provide child care support, and conduct prompt and repeated assessments of the effects of such support. Reports published from child care support practitioners have often demonstrated the advantages of a motherʼs participation in child care circles or groups. However, the optimum style, designs and methods of child care support can vary depending on the presence or absence of anxiety about child care on the part of the mothers. The present study was undertaken to investigate whether or not child care support services desired by mothers participating in infant and child health check programs would differ depending on the presence or absence of anxiety about child care. In this survey, four elements of child care support services (place, day of the week, content and supporter) were analyzed in relation to the presence or absence of such anxiety. The survey revealed that mothers who were anxious about child care more frequently desired child care support services as "an occasion for talking about their problems related to child care" than did mothers who had no such anxiety. This tendency was particularly marked for mothers working full‑time, mothers having only one child and mothers living in a nuclear family (family consisting of parents and children alone). The mothers also desired a place where they can leave their children.