著者
中村 隆一 日笠 裕治 村口 美紀
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.317-322, 2003-06-05
被引用文献数
1

1.ブロッコリーの花蕾腐敗病は、窒素施肥量の増加に対応して多発した。発病株率の高い区では低い区に比べて花蕾部の窒素濃度が高かった。カルシウム資材を花蕾部に葉面散布すると、花蕾部のカルシウム濃度が高まり、花蕾腐敗病の発病株率は低下した。2.花蕾腐敗病の発病には花蕾部の窒素濃度の他にカルシウム濃度が影響する。花蕾部のCa/N比が低いほど発病株率は高く、Ca/N比が0.2以上では発病株率は10%以下で、Ca/N比が0.3以上では発病が認められなかった。3.窒素を分施することで、地上部カルシウムの花蕾部への分配比率が高まる傾向が認められた。したがって、花蕾腐敗病が多発する作型では窒素の分施が発病抑制に有効である。4.低地土が主体の地区で花蕾腐敗病発病状況を調査した結果、花蕾腐敗病は有効土層が浅く、下層土のち密度が高いなど排水性が不良な圃場で多発した。5.以上からブロッコリーの花蕾腐敗病の発病には、花蕾部の窒素濃度とカルシウム濃度が関与し、発病の抑制には窒素の分施および土壌物理性の改善、カルシウム資材の葉面散布が有効である。
著者
中村 隆一 日笠 裕治 村口 美紀
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.317-322, 2003-06-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

To clarify the relationship between nutrient concentration in heads of broccoli and the occurrence of head rot, N and Ca application experiments were carried out. 1) The increased N application promoted the occurrence of head rot. N concentration was higher in rotted heads compared with healthy ones. Foliar spray of Ca increased Ca concentration in heads and suppressed head rot. 2) Both N and Ca concentration had influence on head rot. The Ca/N ratio of heads had negative correlation with the occurrence of head rot, and with a ratio of more than 0.2, frequency of head rot was less than 10% ; with a ratio of more than 0.3, head rot didn't occur. 3) Split application of N increased Ca amount in heads compared with basal application, and was effective to control head rot. 4) In low land soil, head rot mainly occurred in thin layer or poor drainage land. Based on these results, we concluded that i) concentration of N and Ca have influence on the occurrence of head rot and ii) improving N application method, improvement of soil physical property and Ca foliar spray are effective to control head rot.
著者
林 哲央 日笠 裕治 坂本 宣崇
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.9-14, 2003-02-05
被引用文献数
1

北海道の施設栽培条件において軟白ネギのリン酸施肥量を検討した。初期生育を高めるためには1000mg kg^<-1>程度の土壌有効態リン酸量が望ましいが,その後の生育は土壌有効態リン酸量が500mg kg^<-1>程度で大きく,この有効態リン酸量で十分な収量が得られた.これは同じAllium属作物のタマネギ栽培における有効態リン酸量よりも低水準である。土壌有効態リン酸量とリン酸施肥量との関係を検討し,土壌有効態リン酸量が200mg kg^<-1>未満ではリン酸施肥量は250kg ha^<-1>,200〜500mg kg^<-1>では100kg ha^<-1>,500mg kg^<-1>以上では無施肥と設定した.ただし,本結論の対象は主に褐色低地土であり,黒ボク土は対象から除いた.北海道道南地域の施設軟白ネギ生産地における農家ハウスの土壌有効態リン酸量は多くの場合500mg kg^<-1>よりも高く,多施肥されている圃場も多い.従って,本施肥法は軟白ネギ栽培ハウスの土壌有効態リン酸量を500mg kg^<-1>以内に抑制し,多くの農家ハウスにおいて土壌有効態リン酸量を長期的に適正な範囲で維持することを可能にする.