著者
熊谷 道夫 辻村 茂男 焦 春萌 早川 和秀 秋友 和典 永田 俊 和田 英太郎
出版者
滋賀県琵琶湖研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

地球温暖化の進行に伴い、琵琶湖周辺の気温は過去20年間に約1℃上昇した。これは地球全体の平均値より5倍大きい。このような急激な気温上昇は、結果として琵琶湖周辺の気候を単調かつ安定なものに変えつつある。それに伴って、琵琶湖の深水層でも変化が生じている。平均水温の上昇や、溶存酸素濃度の低下、pHの変化、硝酸態窒素の増加、イサザの漁獲量の低下、塩素イオン濃度の上昇などが挙げられる。このような変化の相互相関はまだ明らかではないが、何らかの有意な関係があることが示唆された。琵琶湖深水層における酸素消費速度を高精度ウィンクラー法によって計測した。それによると、酸素消費速度は冬期に最大となり、8〜28μg/L程度で、夏期には減少した。この値は、見かけの酸素消費速度とほぼ同じであった。2001年〜2004年にわたって琵琶湖北湖の深水層で、自記式の酸素計を用いて溶存酸素濃度を計測してきた。2002年の冬は暖冬で、酸素濃度の回復が十分ではなかったので、その年の秋には、溶存酸素濃度が2mg/L以下になった。2003年の冬は寒く雪が多かったので、酸素濃度の回復が十分で、秋の酸素濃度の低下も小さく5mg/L以上であった。このように冬の気温が十分に低ければ、多くの量の酸素が供給されるので、酸素消費速度が著しく大きくならなければ低酸素にはならない。2004年の冬は暖冬で、全循環が2月までずれ込み、飽和酸素濃度も100%まで回復せず、あきらかな全循環欠損が発生した。このことは、秋に酸素濃度が低くなる可能性があるので注意深い観測が必要である。