著者
張 允鍾 青木 誠治 河合 慎一郎 早瀬 光司
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.59-66, 2002-01-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究では散乱ごみやごみの分別問題の現状を定量的に把握し,有効なごみ捨て行動のコントロール策を探るため,ごみ箱の位置,有無,種類などの効果について考察を行った。東広島市内の西条中央公園を系として3カ月にわたり,ごみ箱を系内に均等に分散させる均等分散型,人の滞留場所に配置する滞留場所型,公園の出入口に配置する出入口型の3種について,散乱ごみとごみ箱内のごみの組成分析を行った。缶びんの散乱率は均等分散型の時最も低く,滞留場所型配置の時は均等分散型の4倍以上であった。不燃ごみにおいても,滞留,出入口型配置より,均等分散型配置の時散乱率が最も低い結果となった。出入口型の時,ごみ全体の散乱率が最も高い結果となった。全てのごみに関して,滞留場所型や出入口型といった場所に配置するより,均等分散型配置の時散乱率が最も低く,散乱ごみ抑制で一番有効であることが分かった。ごみ箱を撤去した期間にごみの総量が最も低い値をとり,また家庭ごみも減る結果となった。分別型ごみ箱を設置すると缶びんごみの分別率は高いが,不燃ごみの分別率は低く,この分別率を高くさせる方策が必要である。
著者
早瀬 光司 錫木 圭一郎 青木 誠治 上滝 丈太郎
出版者
廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.193-200, 2002-07-31
参考文献数
16

大学構内の公共空間を現場実験系として採用し, 散乱ごみ低減の社会実験を行った。実験系を朝清掃して散乱ごみをゼロとした後, 夕方, 散乱ごみを回収しごみ分析を行った。人員は10分間隔の写真撮影によりカウントした。実験1においては, ごみ箱も幟もない参照期間とごみ箱と幟「ごみはごみ箱へ」を設置した観測期間との間の散乱ごみ量を比較した。その結果, カンビンの散乱率は観測期間で10%以下となり, ごみ箱と幟による散乱ごみの低減効果が観測された。実験2においては, 灰皿も幟もない参照期間と灰皿と幟「吸い殻は灰皿へ」を設置した観測期間との間の散乱吸い殻量を比較した。その結果, 吸い殻の散乱率は観測期間で61~67%と大きな値であり, 灰皿と幟による散乱吸い殻低減効果はあまり認められなかった。また, 喫煙者は近くに灰皿があれば吸い殻はそこへ入れるが, 少し離れているだけで近くにない場合は灰皿へ入れようとしない傾向のあることもわかった。今後は, 喫煙者が吸い殻を散乱させないようにする啓発活動や働きかけなど, さらなる介入策の研究が必要であろう。