著者
明星 慶洋 玉木 雄三 谷口 英司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.9, pp.701-709, 2022-09-01

観測対象のケーブル導体にプローブ電極を近接させ,非接触の状態で電圧波形の観測を行う非接触電圧計測において,EMC分野での雑音や通信信号の計測を目的に,広帯域にわたり観測精度を向上させるための振幅・位相補償方式を提案する.非接触電圧計測はケーブル導体とプローブ電極との間に生じる結合容量(本論文では C0 と記す)を利用した計測手法であるが,観測波形に見られる誤差や周波数特性の主要因は,結合容量 C0 が微小量であることに依る.この状況において本報告では,電子機器の高周波信号や雑音波形の計測精度を高く保つため,AFE (Analog Front End)にて増幅素子を反転増幅に構成した位相補償回路に加え,AD変換後の信号処理における校正処理により,広帯域な振幅・位相補償を実現する手法について示す.これによりEMC分野における高周波信号やインパルス雑音の高精度な観測が可能となることを示す.