著者
飯高 敏晃 池田 隆司 土屋 旬 星 健夫 宮崎 剛
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

原子分子の視点に基づいたシミュレーションにより、含水鉱物の新高圧相の予測、高温高圧下の水の水素結合状態、氷高圧相のプロトン伝導の解明、水素ハイドレートの高圧相転移、水素化物の高温超伝導、多結晶ダイアモンドの破壊シミュレーションなど、いままで知られていなかった高圧下での水(水素)の振る舞いの一端を明らかにした。今後の中性子散乱実験との協業により一層の解明が進むことが期待される。
著者
藤原 毅夫 星 健夫 山元 進
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

遷移金属酸化物などいわゆる強相関電子系では、密度汎関数を超えた電子間相互作用の取り扱いが必要である。本研究では(1)LDA+U法による取り扱い、(2)GW近似による取り扱い、を行った。また(3)動的平均場近似による予備的な計算、を試みた。さらに、大きな系において密度汎関数理論の枠内で第一原理分子動力学を実行するために、オーダーN法のアルゴリズムを開発した。(1)LDA+U法で取り扱った系は(1-a)Nd{1-x}Sr{x}MnO{3}(x〜1/2)の磁気秩序と軌道整列、(1-b)La{7/8}Sr{1/8}MnO{3}(強磁性絶縁体)の軌道秩序とホールストライプ構造、(1-c)NdNiO{3}、YNiO{3}の磁気秩序と電荷秩序、(1-d)La{2-x}Sr{x}NiO{4}の磁気秩序と電荷秩序、である。(2)GW近似についてはプログラムを整備し、新たにいくつかの計算上の技術を開発しまた並列計算を可能にした。これにより、Si, CaO, MgO, Fe, Ni, Cu, TiO, VO, MnO, Nioなどのバンドギャップその他を検討した。反強磁性絶縁体となるMnO, NiOを除くと、いずれもバンドギャップ、バンド幅など多くの改善が得られ、実験と良い一致を示す。一方,Ni, Feなどのバンドの交換分裂はLDAの結果からほとんど変化しない。これは、交換分裂には梯子ダイアグラムの寄与が必要だが、他は電子正孔の対生成消滅ダイアグラムからの寄与で大きな改善が得られるためである。一方、MnO, NiOについては無摂動状態の波動関数をよりよいものにする必要が示された。現在検討中である。(3)オーダーN法については、絶縁体のワニエ関数を反復的に構成し、これをもとにMauri, Galli等と同じアルゴリズムで分子動力学を実行した。ワニエ関数から、変分および摂動により波動関数を構成するため計算負荷が少なく、現在100万原子の系で計算が可能になっている。Si(100)面の亀裂伝播を実行し、亀裂により発生した面に非対称ダイマーが構成されるプロセスを見出した。