著者
伊東 乾 大場 善次郎 藤原 毅夫 吉田 真 美馬 秀樹 松本 洋一郎 関村 直人 杉野 昇
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

3D可視化技術の技術教育応用を、以下の2点に整理して行った。1 立体視モニタなどの特殊な装置系を必要とするもの2 通常のネットワーク・コンピュータシステムでの教育情報の多次元表示1 については1-1 同一の情報を平面モニタと立体モニタで提示した際の、学習記憶、ならびに疲労については、どちらにも有為な差は見いだせなかった。1-2 「3D内視鏡」操作のように、現実に立体視を利用するシステムの学習については、装置系は決定的に重要 1-3 一般の技術/工学教育の実施に当たっては、幅広い普及などの観点からも情報の多次元表示(すなわち2)が有効 との結論にいたった。2については2-1 インテラクティブで可動性のある、平面モニタ上での情報構造の立体可視化システム(美馬エンジン)が、東京大学教養学部での情報教育で大きな効果を生み出した。2-2 次元の概念を、物理学における解析力学の「一般化座標」にならって拡大し、内部自由度の拡大と考えることで、平面(2D)モニタ上に教育情報の多次元表現を実現した。2-3 一般化された次元とは「色彩」「濃度」「網掛け」といった汎用性あるグラフィックの要素であり、これらをxml等のマークアップ言語で指定することで、工学教育における情報の効果的なオンデマンド多次元表現の一般的可能性があることを、「学習知識構造化」として試験実装することに成功した。

1 0 0 0 OA 準結晶の数理

著者
藤原 毅夫
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.117-134, 1991-06-14

Quasicrystals are newly discovered equiliblate systems, showing diffraction patterns of the sharp and densely distributed spots with the crystallographically disallowed symmetry. These materials open a new field of condensed matter physics. Mathematical aspects of quasicrystals are briefly reviewed, including several general methods constructing quasiperiodic systems, generalized crystallography and fractal character of electronic structures.
著者
藤原 毅夫 星 健夫 山元 進
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

遷移金属酸化物などいわゆる強相関電子系では、密度汎関数を超えた電子間相互作用の取り扱いが必要である。本研究では(1)LDA+U法による取り扱い、(2)GW近似による取り扱い、を行った。また(3)動的平均場近似による予備的な計算、を試みた。さらに、大きな系において密度汎関数理論の枠内で第一原理分子動力学を実行するために、オーダーN法のアルゴリズムを開発した。(1)LDA+U法で取り扱った系は(1-a)Nd{1-x}Sr{x}MnO{3}(x〜1/2)の磁気秩序と軌道整列、(1-b)La{7/8}Sr{1/8}MnO{3}(強磁性絶縁体)の軌道秩序とホールストライプ構造、(1-c)NdNiO{3}、YNiO{3}の磁気秩序と電荷秩序、(1-d)La{2-x}Sr{x}NiO{4}の磁気秩序と電荷秩序、である。(2)GW近似についてはプログラムを整備し、新たにいくつかの計算上の技術を開発しまた並列計算を可能にした。これにより、Si, CaO, MgO, Fe, Ni, Cu, TiO, VO, MnO, Nioなどのバンドギャップその他を検討した。反強磁性絶縁体となるMnO, NiOを除くと、いずれもバンドギャップ、バンド幅など多くの改善が得られ、実験と良い一致を示す。一方,Ni, Feなどのバンドの交換分裂はLDAの結果からほとんど変化しない。これは、交換分裂には梯子ダイアグラムの寄与が必要だが、他は電子正孔の対生成消滅ダイアグラムからの寄与で大きな改善が得られるためである。一方、MnO, NiOについては無摂動状態の波動関数をよりよいものにする必要が示された。現在検討中である。(3)オーダーN法については、絶縁体のワニエ関数を反復的に構成し、これをもとにMauri, Galli等と同じアルゴリズムで分子動力学を実行した。ワニエ関数から、変分および摂動により波動関数を構成するため計算負荷が少なく、現在100万原子の系で計算が可能になっている。Si(100)面の亀裂伝播を実行し、亀裂により発生した面に非対称ダイマーが構成されるプロセスを見出した。