著者
佐藤 英明 佐々田 比呂志 柏崎 直巳 梅津 元昭 星 宏良 舘 鄰 松本 浩道
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1)トランスジェニックブタ作出の基礎技術、すなわち卵成熟・体外受精・受精卵の体外発生、核移植、胚凍結、胚移植などの技術を確立した。特に体外で作出した脱出胚盤胞がフィーダー細胞に接着して増殖し、胚由来細胞のコロニーを形成することを明らかにした。作製した胚由来細胞は凍結保存している。また、ブタ体外成熟卵子から核を除く顕微操作法を確立した。2)ブタ卵母細胞において減数分裂の再開始においてmitogen-activated protein kinase(MAPK)が減数分裂再開始誘起シグナルを細胞質から核に移行させる仲介作用をもつことを明らかにした。3)ヒアルロン酸の体外生産ブタ胚の発生への影響は卵の成熟・受精における条件によりその影響が異なることを明らかにした。4)脱出胚盤胞から作成したブタ胚由来細胞は長期間体外で維持することが可能で、除核未受精卵への核移植により脱出胚盤胞期胚まで発生した。5)緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子を含むベクターを作成し、報告者が開発した胚由来細胞に導入し、導入細胞を選別する方法を開発した。GFP導入細胞は現在、凍結保存している。6)GFP発現胚由来細胞を除核成熟卵子に導入し、融合させ、活性化させる条件を明らかにした。現在、脱出胚盤胞期胚まで発生させることに成功している。