著者
春名 攻 北角 哲 五十嵐 善一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.139-148, 1994

山岳トンネル工事については、今後の大断面施工、急速施工に向けて、機械化・ロボット化等が研究されているが、今のところコスト面から考えてNATMをベースとした工法に勝るものはないというのが実情と考える。この場合、切羽前方の地質予知を含めた切羽の管理をいかに合理的に行うかという問題が、工事の成否の分かれ目となると考える。<BR>一方、建設業においては、受注競争激化の中でコストダウンを強いられ、現場管理要員の削減という問題に直面している。<BR>そこで、マルチメディア・システムやコミュニケーション技術を援用し、トンネル切羽管理に伴う業務を省力化するとともに、切羽の岩盤の状態を合理的に判定するためのシステムを開発し、運用実験を行った。<BR>運用実験の結果、本システムは、切羽管理関係業務の省力化に十分寄与するとともに、岩盤判定のための客観的な情報を迅速に提供し得るものであることが確認された。
著者
春名 攻 久米 達也 久保 誠一郎 桜井 正博
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.289-300, 2006

近年、地方都市中心市街地の衰退・空洞化が顕著になり、問題はより深刻化している。このため、中心市街地の再開発事業に関しても消費者ニーズや時代の流れに沿った開発の必要性が迫られている。そこで、効率的・効果的な中心市街地活性化をめざし、変化する時代に対応し魅力ある都市を創出するために、市街地整備と商業活性化対策の一体的事業整備を行うことによって、個別ではできない新都市機能の導入や既存都市機能の更新、レベルの高いサービス環境等を実現する方法が、大変有効であると考えた。<BR>本研究では中心市街地において、他都市にはない魅力的な雰囲気を持った都市整備事業とするために、当該地区に公園と商業施設を組み合わせた複合商業公園整備を提案し、一体的事業計画案を検討した。また、計画案の実現化方策として、商業集積地区において個別商店レベルでは解決が困難な問題への対応策として、個別商店の組織化・協調体制を組み込んだ運営システムの検討を行った。そして、一体的事業整備について、数学的手法を用いたモデルの定式化・構築を行い、中心市街地活性化をめざした土地利用・施設整備事業構想に関する方法論を論じた。さらに、一体的事業整備を推進させる方法として、土地の取得から整備・運営に至るまでに中間法人製度を用い、地域住民を主体とした新しいマネジメントシステムについて併せて検討を行った。
著者
平田 純一 近藤 宏一 木下 明浩 斉藤 雅通 山崎 正史 塚口 博司 春名 攻 土居 靖範 平井 孝治
出版者
立命館大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
1999

本地域連携研究は,京都府,滋賀県,京都市を対象地域とし,対応する行政機関との連携をはかりつつ研究活動を継続してきた.研究期間内に大規模小売店舗法から大規模小売店舗立地法へと大規模小売店舗の主点調整に対する枠組みの変更もあり,現在ではいわゆるまち作り3法(改正都市計画法,改正建設基本法,大規模小売店舗立地法)によるまち作りとあわせた大規模小売店舗の立地調整が基本となってきた.こうした商業活動を巡る環境の変化と併せて研究期間内には商業活動自身にも大きな変化が発生した.複数の大規模小売業が破綻または大規模なリストラを行う必要が発生した.こうした商業活動を巡る大きな変化を目の当たりにしつつ,本研究プロジェクトでは,対象地域の各自治体における商業調整方法の変化や中心市街地活性化計画等の説明を受けつつ,大学の研究者が独自の研究計画に従った,研究を進め相互交流を図った.研究成果はいくつかに分類することができるし,今回の研究成果のすべてを研究報告書に取り入れることはできなかったが,今後個人ベースで今回の研究成果をより精査することと併せて,学内で研究グループを維持し,行政の担当者との交流を含めて来年度の研究成果の本格的なとりまとめを行うことを予定しており,学内的な予算措置も講じた.本研究では,京都府,滋賀県,京都市における商業活動状況の特性を明らかにすることを目指して,商業統計データの詳細な分析により,地域間の商業活動の比較分析を行った上で,京都府下および滋賀県内における具体的な研究対象地域を設定し,ここにおいて各種の調査を行った上で,これらの地域に対する具体的なまち作り計画を検討した.ここで対象とした地域は,京都府京都市伏見区の大手筋を中心とした商業地区と滋賀県草津市の中心市街地である.伏見地区では,TMOによる具体的な中心市街地活性化計画を策定中であり,これが完成した時点において,この地区がどのようになるのかを歴史的検討と併せて評価を行った.草津市後威信市街地では,大手スーパーSEIYUが撤退跡市を含む隣接地域の将来経計画が大きな課題となっており,これらを含めて検討を行った.こうした検討を行う上で,両地区の通行量調査,来街者調査,消費者の買い物動向調査を行い,これらの調査結果もとりまとめている.こうした調査は,これまで行政主体のものが多く,ここではこれらの内容にとらわれることなく,独自の調査を行った.