著者
筧 一彦 曽我部 優子 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.291, pp.31-38, 2005-09-16
被引用文献数
2

すでに表情の知覚に関する研究は非常にたくさんある。しかし、表情知覚が次元的であるかカテゴリカル的であるかについての決着はまだついていない。これに対して音声では感情レベルを連続的に変化させた発声が困難であるため、感情音声の知覚に関する研究はほとんどないと言ってよい。最近になってSTRAIGHT (VOCODERの一種で高品質の音声を合成可能とする)をベースとする音声の新しいモーフィング法が提案された。本報告ではこのモーフィング法を用いて音声感情の強さや一つの感情から他の異なる感情の間を連続的に変化させた高品質のモーフィング音声を実現し、感情音声の知覚的特性を検討した。最初に感情音声の知覚がカテゴリカルかどうかについて検討した。その結果を表情知覚のカテゴリカル性と比較し、検討を加えた。次に6個の基本感情とそれに平静を加えた7感情の間の関係を多次元心理空間上で検討した。最後に感情音声の知覚特性と表情のそれについて議論した。