著者
日浦 啓全 有川 崇 バハドゥール ドゥラドゥルガ
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
日本地すべり学会誌 (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.323-334, 2004-11-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17
被引用文献数
22 17

近年の関東以西の市街地周辺の山麓部での放置竹林の拡大は目に余るものがある。平成10年9月に高知市を中心とする地域をおそった前線性豪雨では市街地の洪水被害のみでなく, 都市を取り巻く山地の山麓部で多くの崖崩れ災害が発生し, しかもその約1/3の地点に竹林が見られた。竹林と崩壊現象の因果関係の解明は, まだ緒についたばかりであるが, 今後, 都市域での土砂災害の典型となることが懸念される。土壌の物理的性質からは表層部の透水性が大きく, そのため表層部に雨水が集中し, 斜面の不安定化を惹起する懸念がある。筆者らは, 竹林土壌の物理性を調べると共に竹林内において貫入試験を実施した。これらの結果をもとに崩壊モデルを提案した。このモデルは今後, 放置竹林の管理のあり方を考えていく上で, さらには土地利用や斜面の不安定化と竹の存在の関連を考えていく上で有効なものとなることが期待できる。
著者
日浦 啓全 有川 崇 バハドゥール ドゥラドゥルガ
出版者
公益社団法人 日本地すべり学会
雑誌
日本地すべり学会誌 (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.323-334, 2004
被引用文献数
1 17

近年の関東以西の市街地周辺の山麓部での放置竹林の拡大は目に余るものがある。平成10年9月に高知市を中心とする地域をおそった前線性豪雨では市街地の洪水被害のみでなく, 都市を取り巻く山地の山麓部で多くの崖崩れ災害が発生し, しかもその約1/3の地点に竹林が見られた。竹林と崩壊現象の因果関係の解明は, まだ緒についたばかりであるが, 今後, 都市域での土砂災害の典型となることが懸念される。土壌の物理的性質からは表層部の透水性が大きく, そのため表層部に雨水が集中し, 斜面の不安定化を惹起する懸念がある。筆者らは, 竹林土壌の物理性を調べると共に竹林内において貫入試験を実施した。これらの結果をもとに崩壊モデルを提案した。このモデルは今後, 放置竹林の管理のあり方を考えていく上で, さらには土地利用や斜面の不安定化と竹の存在の関連を考えていく上で有効なものとなることが期待できる。
著者
福留 脩文 有川 崇 西山 穏 福岡 捷二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.490-503, 2010 (Released:2010-10-20)
参考文献数
14

高堰堤式落差工の存在は,多くの場合,魚類の遡上や降下を妨げ,瀬や淵の環境を失わせてきた.著者らはこの問題を改善するため,渓流に見られる天然段差をモデルに,福岡県岩岳川の河床に大小の転石を組む低い分散型落差工群を試作した.その基本形に石造アーチと,流体中の静止物体の安定理論を応用し,施工には日本の伝統的な石垣工法を用いた.完成後,洪水前後の河道状況を調査し,施工した石組み構造の変化について観察した.その結果,構造の要となる大石が安定すれば,大石間に組んだ石礫は変化しても,上流から石礫が補給されて段差は復活または新たに再現されていた.自然から学んだ河床構造と簡単な解析の設計法による試験施工の結果,分散型落差工を設置した河床は,洪水で変形しつつも安定し,瀬と淵も河床高も維持されたことを確認できた.