著者
黒田 祐二 有年 恵一 桜井 茂男
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.24-32, 2004-03-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
23
被引用文献数
7 3

本研究の目的は, 大学生の親友関係における関係性高揚と精神的健康との関係について検討すること, 及び, その関係に相互協調的-相互独立的自己観が及ぼす影響について検討することであった。結果から, 日本の大学生において, 自分たちの親友関係を他の親友関係より良いものであると評価する「積極的関係性高揚」と, 悪くはないと評価する「消極的関係性高揚」は, 相対的幸福感・自尊感情・充実感と正の関係を示し, 抑うつと負の関係を示すことが見出された。さらに, この関係性高揚と精神的健康との関係は, 相互協調的自己観ないし相互独立的自己観が自己に内在化されている程度によって異なることが示された。すなわち, 相互協調的自己観の低い者より高い者において, そして, 相互独立的自己観の高い者より低い者において, 関係性高揚 (積極的関係性高揚及び消極的関係性高揚) と精神的健康との関係が強くなることが示された。
著者
黒田 祐二 有年 恵一 桜井 茂男
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.24-32, 2004-03

本研究の目的は,大学生の親友関係における関係性高揚と精神的健康との関係について検討すること,及び,その関係に相互協調的-相互独立的自己観が及ぼす影響について検討することであった。結果から,日本の大学生において,自分たちの親友関係を他の親友関係より良いものであると評価する「積極的関係性高揚」と,悪くはないと評価する「消極的関係性高揚」は,相対的幸福感・自尊感情・充実感と正の関係を示し,抑うつと負の関係を示すことが見出された。さらに,この関係性高揚と精神的健康との関係は,相互協調的自己観ないし相互独立的自己観が自己に内在化されている程度によって異なることが示された。すなわち,相互協調的自己観の低い者より高い者において,そして,相互独立的自己観の高い者より低い者において,関係性高揚(積極的関係性高揚及び消極的関係性高揚)と精神的健康との関係が強くなることが示された。The purpose of the present study was (1) to investigate relations between the enhancement of close friendship and the mental health of Japanese college students, and (2) to examine whether that relationship varied with the students' scores on interdependent-independent construal of the self. The results were as follows (1) "Active enhancement", in which participants evaluated their close friendship as better than others and "passive enhancement" in which participants evaluated their close friendship as not worse than others', were positively correlated with subjective happiness, self-esteem, and fulfillment sentiment, and negatively correlated with depression. (2) Correlations were stronger for participants who scored high on interdependent construal of the self than for those who scored low on that measure. Similarly, correlations were stronger for participants whose scores were low on independent construal of the self than for those whose scores were high.