著者
有賀 克明 水野 恵子 山田 美香
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.171-183, 2006-12-24

香港の幼児教育改革で特徴的なのは、幼保一元化(調和)が行政レベルでは既に2004年から開始されていることである。現在の就学前教育・保育は、教育統籌局Education and Manpower Bureauの管轄の幼稚園Kindergarten、社会福利署管轄の幼児園・幼児センターChildcare centerに二分される。2005年9月に両者の行政組織を調和harmonizationさせた。質の高い幼稚園は当然人気が高い。しかし多くの家庭はメイドを雇っていて、その数は20数万人にものぼるため、幼児園(幼児センター)等の役割は相対的に低く、政府による就学前教育への投資は抑制しがちになる。メイドの平均月給は3,500香港ドル(以下、ドルと略称、1ドル=16円程度)前後で、全日制幼児園の平均的な学費2,000数百ドルより高いが、メイドが家事全般をこなしてくれることを考えると割安と言えるので、幼児園よりメイドを選ぶ家庭が多くなるのも当然であろう。
著者
山田 美香 水野 恵子 有賀 克明
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.117-132, 2006-06-24

本研究は、台湾・台北の多様な幼児教育機関への訪問を踏まえ、これら幼児教育機関の保育者へのインタビューや関連行政機関担当者へのインタビューをまとめたものである。これらの調査から明らかになったのは、日本以上に抜本的な改革が行われていることであった。しかし日本とは違い、NPOや母親の有志が国や地方自治体を大きく動かすような状況、民間と公的機関の連携もほとんどみられなかった。幼稚園、託児所が多様化しているが、強力な政府主導型による託児所・幼稚園行政が行われていた。2004年11月の段階で、幼保一元化など、これまで幼稚園、託児所と大きく二分されていた就学前教育のあり方にメスが入った。政治的・財政的要因があるにせよ、改革は受益者である子どもの権利を尊重することにあると明確に原理原則を打ち出している点は傾聴に値する。台湾では、日本に比べ、急激に子どもを取り巻く環境、子どもの減少など大きな変化が訪れ、その対応に追われつつも、自由競争の中で効率的な質の高い幼児教育・保育を真摯に求める姿が見られた。
著者
有賀 克明 水野 恵子 山田 美香
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.171-183, 2006-12-24

香港の幼児教育改革で特徴的なのは、幼保一元化(調和)が行政レベルでは既に2004年から開始されていることである。現在の就学前教育・保育は、教育統籌局Education and Manpower Bureauの管轄の幼稚園Kindergarten、社会福利署管轄の幼児園・幼児センターChildcare centerに二分される。2005年9月に両者の行政組織を調和harmonizationさせた。質の高い幼稚園は当然人気が高い。しかし多くの家庭はメイドを雇っていて、その数は20数万人にものぼるため、幼児園(幼児センター)等の役割は相対的に低く、政府による就学前教育への投資は抑制しがちになる。メイドの平均月給は3,500香港ドル(以下、ドルと略称、1ドル=16円程度)前後で、全日制幼児園の平均的な学費2,000数百ドルより高いが、メイドが家事全般をこなしてくれることを考えると割安と言えるので、幼児園よりメイドを選ぶ家庭が多くなるのも当然であろう。