著者
菅野 眞綾 土肥 眞奈 佐々木 晶世 服部 紀子 叶谷 由佳
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.296-303, 2016

<p>本研究は,就寝前に湯たんぽを足元に設置し,寝床内と足部を局所的に加温することによる施設入所高齢者の睡眠に及ぼす影響について検討することを目的とした。介護老人福祉施設に入所中の高齢者6名を対象に就寝中の客観的睡眠状況,主観的睡眠感,核心温,寝床内温度を調査し,介入日とコントロール日で比較した。その結果,有意差はないものの介入日はコントロール日と比較し,入眠の促進,中途覚醒の減少,REM睡眠時間の延長,実質睡眠時間合計の延長があった。また,主観的睡眠感では,有意差はないものの介入日はコントロール日に比較し,睡眠時の疲労回復,起床時眠気,夢みが改善した。湯たんぽによる足元加温は施設入所高齢者の睡眠状況の改善に効果がある可能性があり,事例数や介入期間を増加して検討すること,更なる睡眠の改善のためには,安全を考慮しつつも十分に寝床内を加温する方法について検討していく必要性が示唆された。</p>
著者
服部 紀子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.18-34, 2017-01-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
15

日本語文法の研究史上、西洋文典の影響による格は江戸期の鶴峯戊申『語学新書』以降複数の文典に見られる。本稿はこの種の文典の前提となる蘭文典、吉雄俊蔵『六格前篇』(1814)と藤林普山『和蘭語法解』(1812)を取り上げ、日本語の格理解を比較する。両書は、格機能の捉え方に共通点があるが、格標示形式の扱いにそれぞれの特性が現れている。また、『六格前篇』は非表出の格標示形式を捉える際に本居宣長の「徒」を念頭に置いていることも確認した。両書の格理解を明示することで、国学からの影響を浮き彫りにし、日本語の格研究が蘭語学から鶴峯へとつながる過程を示すと共に、蘭学者による日本語のテニヲハ理解の一端を国語学史上に位置づけることができた。