著者
菅野 眞綾 土肥 眞奈 佐々木 晶世 服部 紀子 叶谷 由佳
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.296-303, 2016

<p>本研究は,就寝前に湯たんぽを足元に設置し,寝床内と足部を局所的に加温することによる施設入所高齢者の睡眠に及ぼす影響について検討することを目的とした。介護老人福祉施設に入所中の高齢者6名を対象に就寝中の客観的睡眠状況,主観的睡眠感,核心温,寝床内温度を調査し,介入日とコントロール日で比較した。その結果,有意差はないものの介入日はコントロール日と比較し,入眠の促進,中途覚醒の減少,REM睡眠時間の延長,実質睡眠時間合計の延長があった。また,主観的睡眠感では,有意差はないものの介入日はコントロール日に比較し,睡眠時の疲労回復,起床時眠気,夢みが改善した。湯たんぽによる足元加温は施設入所高齢者の睡眠状況の改善に効果がある可能性があり,事例数や介入期間を増加して検討すること,更なる睡眠の改善のためには,安全を考慮しつつも十分に寝床内を加温する方法について検討していく必要性が示唆された。</p>