著者
望月 好子 佐久間 夕美子 石田 貞代 座波 ゆかり
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.3-14, 2021-04-30 (Released:2021-08-01)
参考文献数
23

目的:ジャカルタに住む日本人の母親の現地生活,育児とその支援への思いを滞在3・4年目の駐在員の妻に焦点をあてて明らかにする。方法:2018年9月に,ジャカルタに住む日本人の母親に半構造化面接を実施し,質的統合法を用いて分析した。結果:ジャカルタに住む日本人の母親たちは,①【特有の生活事情への懸念】をもっていた。加えて②【医療への不安感とその対応への変化】を経験し,③【子育て支援への期待感】や④【生活環境への適応感】をもつに至った。さらに母親たちは,⑤【本帰国への不安感】をもちながらも,その反面で⑥【密な人間関係に基づく情報伝達意欲】という肯定的な思いをもつに至った。結論:日本人の母親たちの現地生活,育児と支援への思いは上記の構造をもつことが明らかになった。母親たちは,現地生活が長引くにつれて生活に適応し,否定的な思いから徐々に肯定的な思いに移行していくことが示唆された。また母親たちは,本帰国が近づくにつれて帰国後の日本の生活に対する不安が高まりながらも,情報発信意欲をもち,情報の受け手から担い手へ徐々に移行していくことが示唆された。
著者
宮内 清子 望月 好子 石田 貞代 佐藤 千史
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.433-441, 2009-01
被引用文献数
1

目的:中高年女性の就業形態が更年期症状にどのように影響しているかを明らかにし,今後の健康支援において主たる対象とすべき集団の特性とその課題をみつけることを目的とした。方法:対象者は40〜65歳までの女性とし,都内および近郊に在住の某女子大学学生の母親および大学関係者から公募した。調査協力に同意の得られた220名を対象として,自己記入式質問紙調査を実施した。調査内容は,属性,生活習慣,健康情報入手方法,健康相談相手,将来の健康不安,更年期症状とした。更年期症状は簡略更年期指数(SMI)を用いて調査した.また,医学中央雑誌で先行研究を検索し,SMIの得点を比較した。結果:SMI得点は先行研究における一般女性とほぼ同様の結果であった。SMIの得点を就労形態別に5群で比較したところ,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた(p=0.049)。症状別にみると,自営業群は他の群と比較して「怒りやすくいらいらする」「くよくよしたり,憂うつになったりする」「頭痛・眩暈・吐き気がよくある」などの精神的症状が有意に高かった。結論:就業形態別に更年期症状を検討した結果,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた。特に自営業群の精神的な症状が,他の群に比べて有意に高かった。このことから自営業の中高年女性に精神面の支援の必要性が示唆された。