著者
廣瀬 紀子 石田 貞代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.564-570, 2009-01
被引用文献数
1

2006年6月〜2007年2月に東京近県の総合病院で妊婦51人を対象に,認知行動療法の手法を用いた体重コントロールのための無作為化比較の介入研究を行った。研究目的は,認知行動療法の手法が妊娠中体重コントロールに及ぼす効果を明らかにすることである。本研究で用いた認知行動療法の手法は,生きがい連結法,セルフモニタリング法,行動強化法である。介入群には妊娠5ヵ月の妊婦健診時に生きがい連結法による目標体重の設定および分娩に至るまでの間のセルフモニタリング法,および妊婦健診ごとに行動強化法を行った。結果は研究期間内に分娩が終了した38人(対照群17人,介入群21人)を比較した。分娩時の目標体重は対照群では12人(57.1%),介入群では16人(94.1%)が達成し,介入群の達成者の割合が有意に多かった(p=0.012)。妊娠中の体重コントロールに関する自己効力感尺度得点は,介入後4ヵ月目,5ヵ月目に対照群に比べて介入群が有意に高かった(p=0.043)(p=0.002)。目標体重の達成状況および自己効力感が高められたことから,認知行動療法は妊婦の体重コントロールに効果があることが示唆された。
著者
望月 好子 佐久間 夕美子 石田 貞代 座波 ゆかり
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.3-14, 2021-04-30 (Released:2021-08-01)
参考文献数
23

目的:ジャカルタに住む日本人の母親の現地生活,育児とその支援への思いを滞在3・4年目の駐在員の妻に焦点をあてて明らかにする。方法:2018年9月に,ジャカルタに住む日本人の母親に半構造化面接を実施し,質的統合法を用いて分析した。結果:ジャカルタに住む日本人の母親たちは,①【特有の生活事情への懸念】をもっていた。加えて②【医療への不安感とその対応への変化】を経験し,③【子育て支援への期待感】や④【生活環境への適応感】をもつに至った。さらに母親たちは,⑤【本帰国への不安感】をもちながらも,その反面で⑥【密な人間関係に基づく情報伝達意欲】という肯定的な思いをもつに至った。結論:日本人の母親たちの現地生活,育児と支援への思いは上記の構造をもつことが明らかになった。母親たちは,現地生活が長引くにつれて生活に適応し,否定的な思いから徐々に肯定的な思いに移行していくことが示唆された。また母親たちは,本帰国が近づくにつれて帰国後の日本の生活に対する不安が高まりながらも,情報発信意欲をもち,情報の受け手から担い手へ徐々に移行していくことが示唆された。
著者
宮内 清子 望月 好子 石田 貞代 佐藤 千史
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.433-441, 2009-01
被引用文献数
1

目的:中高年女性の就業形態が更年期症状にどのように影響しているかを明らかにし,今後の健康支援において主たる対象とすべき集団の特性とその課題をみつけることを目的とした。方法:対象者は40〜65歳までの女性とし,都内および近郊に在住の某女子大学学生の母親および大学関係者から公募した。調査協力に同意の得られた220名を対象として,自己記入式質問紙調査を実施した。調査内容は,属性,生活習慣,健康情報入手方法,健康相談相手,将来の健康不安,更年期症状とした。更年期症状は簡略更年期指数(SMI)を用いて調査した.また,医学中央雑誌で先行研究を検索し,SMIの得点を比較した。結果:SMI得点は先行研究における一般女性とほぼ同様の結果であった。SMIの得点を就労形態別に5群で比較したところ,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた(p=0.049)。症状別にみると,自営業群は他の群と比較して「怒りやすくいらいらする」「くよくよしたり,憂うつになったりする」「頭痛・眩暈・吐き気がよくある」などの精神的症状が有意に高かった。結論:就業形態別に更年期症状を検討した結果,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた。特に自営業群の精神的な症状が,他の群に比べて有意に高かった。このことから自営業の中高年女性に精神面の支援の必要性が示唆された。
著者
鈴木 英子 叶谷 由佳 石田 貞代 香月 毅史 佐藤 千史
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.19-29, 2004-03-30

本研究の目的は、日本語版RAS (Rathus assertiveness schedule)を作成し、その因子構造を評価することである。 RASは、Rathusによって開発されたアサーティブネス行動を測定するための尺度であり、欧米では広く使われている。そのRASをback-translationとともに日本語へ翻訳し、看護学生103人のサンプルで検討した。その結果、日本語版RASはテスト-再テスト法(r=0.86 p<0.01)及び折半法(r=0.72〜0.80 p<0.01)で信頼係数が高かった。日本語版RASのクロンバックの信頼係数は0.82〜0.84 (p<0.01)であり、内的整合性が高かった。因子分析では、7因子が抽出され、原版のRASとは、若干の違いがあったものの妥当性が高い可能性が示唆された。