著者
久米 光 村瀬 勢津子 望月 真弓
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.126-132, 1985-09-20 (Released:2009-12-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

内臓真菌症の治療薬として現在最も広く用いられている amphotericin B (AMPH) と flucytosine (5-FC) との併用効果については今尚釈然としない. そこで我々は両剤の併用効果の有無およびその程度を確認するとともに, 併用効果の発現の機作を明らかにすべく一連の検索を行なった.チェッカーボード法による両剤の併用効果は, いずれも combined action index は20以上で両剤の間に極めて強い協力作用が認められた. また, 感染治療実験においても累積死亡率および病理組織学的検索成績の両者で評価した結果, 明らかに両剤の間に併用効果がある事が確認された.そこで, 高速液体クロマトグラフィーを用いて両剤の分別定量法を確立するとともに, 本法によって諸種の濃度AMPHが混在する培養系における供試菌菌体内への5-FCの取り込み量を比較検討した. また, 両剤併用時における5-FCのラット体内動態を単独投与群との比較において検討し, 従来基礎的に明らかではなかったAMPHと5-FCとの併用効果の重要な機作の1つとしてAMPHが, 5-FCの吸収, 排泄および臓器内移行濃度に何等の影響を及ぼすことなく, 菌体内への5-FCの取り込みを促進するのであろうことを示唆する成績を示した.