著者
阿部 美知子 久米 光 奥平 雅彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.289-295, 1985
被引用文献数
1

真菌症の免疫血清学的検査の診断学的有用性について臨床材料652検体および健康者88検体の合計740検体を供試材料として, counterimmunoelectrophoresis (以下CIE), passive haemagglutination (以下PHA) および latex agglutination test (以下LA) の三法で比較検討した.<br>臨床的および病理組織学的にカンジダ症が確認された66例中, CIEによる抗カンジダ抗体陽性率は48.5%およびPHA37.9%で, 病型別には内臓カンジダ症の陽性率が高かった.<br>同様にアスペルギルス症が確認された39例中, CIEによる抗アスペギルス抗体陽性率は38.5%およびPHA 77.3%であった.<br>クリプトコックス症11例のCIEによる血清中抗クリプトコックス抗体陽性率は30.0%, 同様に抗原陽性率50.0%で, 髄液中の抗体陽性率は0%, 同様に抗原陽性率は62.5%であった. また, LAによる抗原検出率は血清および髄液ともに100%で, クリプトコックス症では抗原検索の有用性が示唆された.<br>なお,内因性の感染症であるカンジダ症の診断では, 確定しえなかった症例でも臨床材料より頻回に大量のカンジダが分離される症例では高頻度にカンジダ抗体の検出をみた. このことは検索成績の評価に充分な配慮が必要であることを示唆するものである.
著者
久米 光 村瀬 勢津子 望月 真弓
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.126-132, 1985-09-20 (Released:2009-12-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

内臓真菌症の治療薬として現在最も広く用いられている amphotericin B (AMPH) と flucytosine (5-FC) との併用効果については今尚釈然としない. そこで我々は両剤の併用効果の有無およびその程度を確認するとともに, 併用効果の発現の機作を明らかにすべく一連の検索を行なった.チェッカーボード法による両剤の併用効果は, いずれも combined action index は20以上で両剤の間に極めて強い協力作用が認められた. また, 感染治療実験においても累積死亡率および病理組織学的検索成績の両者で評価した結果, 明らかに両剤の間に併用効果がある事が確認された.そこで, 高速液体クロマトグラフィーを用いて両剤の分別定量法を確立するとともに, 本法によって諸種の濃度AMPHが混在する培養系における供試菌菌体内への5-FCの取り込み量を比較検討した. また, 両剤併用時における5-FCのラット体内動態を単独投与群との比較において検討し, 従来基礎的に明らかではなかったAMPHと5-FCとの併用効果の重要な機作の1つとしてAMPHが, 5-FCの吸収, 排泄および臓器内移行濃度に何等の影響を及ぼすことなく, 菌体内への5-FCの取り込みを促進するのであろうことを示唆する成績を示した.
著者
阿部 美知子 久米 光
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-25, 2013 (Released:2013-03-08)
参考文献数
14
被引用文献数
1