著者
朝子 理 前田 武昌
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.1828-1832, 2008 (Released:2009-01-06)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

われわれは日常臨床でよく経験する皮下腫瘤がマンソン孤虫症であった2例を経験したので報告する.症例1は78歳,女性.乳癌として紹介されてきたが,手術の結果,乳癌でなく乳房の皮下腫瘤の原因がマンソン孤虫症によるものであった.この症例は下肢にも皮下腫瘤を認め,そこからもマンソン孤虫症のプレロセルコイドを認めた.症例2は77歳,男性.鼠径部の脂肪腫と診断したが,腫瘤内にマンソン孤虫症のプレロセルコイドを認めた.症例1,2ともに,マムシ,生の鶏肉,スッポンの生血,タニシ,淡水魚の摂取既往歴をもっていた.われわれ外科医は,皮下腫瘤の中にマンソン孤虫症のような寄生虫疾患もごく稀にはあり得ることを考慮するべきである.
著者
笠川 脩 丸茂 仁 朝子 理 丸茂 岳 伊藤 裕子 大槻 勝紀
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 = The Journal of Japan Society for Laser Medicine (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.112-118, 2008-07-15
被引用文献数
1

現在,本邦の外科臨床における内痔核根治術は旧くから普遍的なMilligan-Morgan法に基づく痔核結紮切除術が標準術式である.しかし,術中の出血制御と術後の局所における愁訴の緩解には解決すべき問題が残されている.<BR>この術式に常用されている金属メス・電気メスに替えてNd-YAGレーザー接触型プローブを用いると,痔核を基層から最小限の侵襲で容易に切除でき,出血がないため,手術手技は簡易となる.また,術後の局所疼痛・腫脹も軽微で,創部組織の治癒が早く,在院期間が短縮されるなど好ましい臨床成績が得られる.そこでNd-YAGレーザー接触型プローブの有用性についての知見を得るために,動物実験により,通常の金属メス・電気メスと比較検討した.<BR>レーザープローブの創部では表皮細胞の分裂が亢進しており,iNOS・KGF・KGFRの発現も金属メス・電気メスより亢進していることから,表皮再生が早期より起こると考えられた.すなわち,Nd-YAGレーザー接触型プローブを用いると,手技が簡易で,無血操作が可能となり,創部組織の治癒が早く,低侵襲術式として外科臨床上有用である.