著者
田崎 和江 朝田 隆二 渡邊 弘明 白木 康一
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.22-33, 2006 (Released:2006-03-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

Characterization of man-made rock-wool fibers were investigated by using optical and electron microscopic techniques and discussed how to affect on human health. The rock-wool fibers were collected from spraying on the roof. Mineralogical analyses were carried out by X-ray powder diffraction. Most fibers can exist as straight or curved fine threads with sharp points μm-nm in diameter under electron microscopy observations. The rock-wool is complex agglomerates of fibers and fumes with cement of calcite. The shape and size are significantly important factors for hazardous assessment of man-made fibers. The fibers are easily adhering to protein-rich spherical materials in 1% BSA (bovine serum albumin) and in ringer’s solution for few days aging. Spherical protein-like materials are similar to “asbestos body” with dumbbells shape. Man-made fibers have been manufactured for over 20 years, but there have been few concerns raised regarding the safety of rock-wool, were considered to be non-hazardous, because of the different durability in the lung. Present study consistently suggests that man-made fibers with fine and sharp points have similar risk as carcinogen of asbestos. The results of both patch test and adhesion materials with dumbbells shape provide clues regarding the mechanisms of tolerance in the lungs of exposed animals, and may be relevant for humans.
著者
田崎 和江 縄谷 奈緒子 国峯 由貴江 森川 俊和 名倉 利樹 脇元 理恵 朝田 隆二 渡辺 弘明 永井 香織 池田 頼正 佐藤 一博 瀬川 宏美 宮田 浩志郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.108, no.7, pp.435-452, 2002-07-15
被引用文献数
3 5

1991年12月,排砂ゲートを設けた出し平ダム(富山県黒部川水系1985年設立)から,初の直接排砂が行われ,その際,多量のヘドロが排出された.その後も1999年までに計8回の排砂が行われた.本研究において,出し平ダム湖および富山湾堆積物の特性について分析を行った.その結果,特に芦野沖にヘドロが堆積していること,そして,富山湾堆積物は他の湾堆積物と比べカオリン鉱物,スメクタイトが多く,出し平ダム湖堆積物と類似した粘土鉱物組成を持つことが明らかとなった.実験より,ニジマスのエラにスメクタイトが吸着することで,エラの変形や脱水を引き起こすことが明らかとなり,また,富山湾で採取されたヒラメのエラ表面が,微細粒子で覆われているのが観察された.以上の結果と1991年から1999年の出し平ダム排砂量とヒラメの漁獲量の変遷には密接な関係が認められ,ダム湖や富山湾底質の経時変化を観察することの重要性が示された.
著者
朝田 隆二
出版者
金沢大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

1.粘土-微生物相互作用粘土鉱物を含む培地を作成して、微生物の生育について実験を行った。培地の栄養塩を制限したとき、粘土を入れた方は入れなかった場合に比べて、分裂開始時刻が早まった。また、無酸素状態で、微生物を培養した場合、粘土を入れた方は、入れなかったものに比べてより長期間生き続けることが明らかとなった(R.ASADA, et al.,2004)。このような結果は、粘土鉱物表面が細胞の分裂を促進する効果を持つことや粘土鉱物が無酸素状態において酸素の代わりに最終電子受容体になることが示唆される。このことは、極限環境である熱水中の粘土粒子と微生物、また、地下生物圏における粘土鉱物と微生物、の相互作用を考える上で有益な情報となる。2.粘土-重油-微生物相互作用重油で汚染された環境のバイオレメディエーションシステムの開発のために、実際に汚染された現場からの有用細菌の単離、および実験室での粘土鉱物を使った実験を行った。単離された細菌は1997年の日本海重油流失事故で被害にあった日本海側沿いの3つの海岸から得られた。それらは、長鎖の飽和炭化水素を効率よく分解し、重油の中でもよく育つことがわかった(Chaerun S.K., Tazaki K., Asada R., and Kogure K. 2004)。また、これらの細菌を重油だけでなく、海岸に普遍的に存在する粘土鉱物を混ぜて培養実験を行ったところ、混ぜない場合に比べてより細胞分裂が促進されることが明らかとなった(Chaerun S.K., Tazaki K., Asada R., and Kogure K. 2005)。さらに、培地の中の粘土-重油-微生物の複合体の透過型電子顕微鏡観察により、粘土表面および端部への重油や細菌の吸着過程が明らかとなった。これは、粘土-重油-微生物相互作用によるバイオレメディエーションのプロセスを示している。