著者
田中 一寛 阪上 義雄 齋藤 実 朝田 雅博 寺村 一裕 佐々木 真人 甲村 英二
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.395-400, 2004-05-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
23

症例は77歳,女性で,頭痛,嘔気,めまいを主訴に当院を受診した.頭部MRIにおいて左小脳半球より小脳テントに沿って,一部境界不明瞭な腫瘍性病変が認められた.脳血管造影では,主に左副硬膜動脈より腫瘍濃染が認められた.後頭下開頭による腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は左小脳半球から発生し,クモ膜下腔を硬膜,小脳テントに沿って進展し,左錐体骨にて腫瘍と接する硬膜から細い多数の栄養血管が認められた.組織学的には悪性星状細胞腫であった.術前には髄膜腫,転移性脳腫瘍などとの鑑別診断に苦慮した1例であった.