著者
竹野 巨樹 井上 玲 飯村 泰昭 寺村 一裕
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.536-540, 2022-07-15 (Released:2022-07-15)
参考文献数
9

肺動静脈奇形は遺伝性出血性毛細血管拡張症に合併することが多い疾患であり,治療はコイルやプラグを用いた塞栓術が第一選択である.コイルの胸腔内穿破や膿胸といった合併症はこれまでに報告がない.症例は20歳代女性.遺伝性出血性毛細血管拡張症の既往があり,5年前に他院で右S10の肺動静脈奇形に対しコイル塞栓術を施行された.今回胸痛にて当院救急外来を受診,1度の右気胸を認め経過観察入院となった.入院後,炎症反応の上昇とともに胸水の貯留を認めた.局麻胸腔鏡検査を施行し,膿胸に加え臓側胸膜からコイルの露出を認めた.コイルの胸腔内穿破による膿胸と診断し,胸腔鏡下膿胸腔掻爬術を施行,コイル露出部位を縫合閉鎖した.術後も少量の血痰が持続し,術後3ヵ月のCTでコイル周囲に囊胞状病変を認め,気道との交通が疑われた.そのため約半年後に二期的に右下葉切除を施行した.右下葉切除後,症状再燃なく経過は良好だった.
著者
田中 一寛 阪上 義雄 齋藤 実 朝田 雅博 寺村 一裕 佐々木 真人 甲村 英二
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.395-400, 2004-05-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
23

症例は77歳,女性で,頭痛,嘔気,めまいを主訴に当院を受診した.頭部MRIにおいて左小脳半球より小脳テントに沿って,一部境界不明瞭な腫瘍性病変が認められた.脳血管造影では,主に左副硬膜動脈より腫瘍濃染が認められた.後頭下開頭による腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は左小脳半球から発生し,クモ膜下腔を硬膜,小脳テントに沿って進展し,左錐体骨にて腫瘍と接する硬膜から細い多数の栄養血管が認められた.組織学的には悪性星状細胞腫であった.術前には髄膜腫,転移性脳腫瘍などとの鑑別診断に苦慮した1例であった.