著者
山本 健 片岡 厚 古山 安之 松浦 力 木口 実
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.320-326, 2007 (Released:2007-11-28)
参考文献数
7
被引用文献数
6 8

紫外線から可視光線(278~496 nm)を波長幅約20 nmに分光して6樹種の木材に照射し,照射光の波長と材の変色との関係を調べた。照射前のCIELAB色空間におけるL* 値が70以上,a*値が8未満の淡色材には,紫外域での暗・濃色化と,可視域での明・淡色化が見られた。厳密には,暗・濃色化と明・淡色化の境界波長は樹種によって異なり,針葉樹では,境界波長が広葉樹よりもやや長波長側に見られる傾向があった。一方,照射前のL* 値が70未満,a* 値が8以上の濃色材の変色パターンは複雑であったが,抽出処理後の照射では,淡色材の変色傾向にやや近づく傾向が見られた。照射前の木材の色調と分光照射による変色の関係について,照射前のL* 値が小さい材ほど短波長の光でL* 値が減少から増加に転じ,照射前のa* 値が大きい材ほど短波長でa* 値が増加から減少に転じる傾向があった。しかし,b* 値にはこのような関係は見られなかった。
著者
石川 敦子 片岡 厚 松永 正弘 小林 正彦 神林 徹 川元 スミレ 木口 実
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.72-80, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。
著者
大村 和香子 前田 恵史 谷川 充 桃原 郁夫 木口 実 吉村 剛 竹松 葉子 源済 英樹 野村 崇 金田 利之 三枝 道生
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.26-33, 2011
被引用文献数
3

日本産および外国産の15樹種の心材を用い,ヤマトシロアリおよびイエシロアリを対象とした室内試験により耐蟻性を評価した。さらに,各樹種試験体を全国9カ所の野外に非接地・非暴露状態で設置し,加害シロアリ種および気象条件と食害指数との関係を検討した。室内試験の結果,イエシロアリ,ヤマトシロアリに対して,耐候操作を経ないレッドウッド,スギ,カリーが,耐蟻性の指標に設定した耐蟻インデックス値80%を下回った。一方,耐候操作により,ヤマトシロアリではヒバ,レッドウッド,スギで耐蟻インデックス値が顕著に減少したのに対して,イエシロアリでは耐候操作前後における耐蟻性の相違は,ヤマトシロアリの場合ほど顕著には認められなかった。野外試験では,高比重の広葉樹材の中ではカリーが高い食害指数を示し,耐蟻性が低いと評価された。また試験地の違いによって,同期間の暴露であっても,供試樹種の食害指数が異なることが明らかとなった。
著者
森谷 友昭 金子 裕哉 新井 崇博 清水 宣寿 青木 香織 高橋 時市郎 木口 実 片岡 厚 石川 敦子 松永 正弘 小林 正彦 森田 珠生 山口 秋生
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.69-79, 2017 (Released:2017-06-03)
参考文献数
11

本論文では,暴露試験により計測された木材表面の色を基に,木材画像の色の経年変化シミュレーションを高速に行う手法を提案する。暴露試験は,約1年間計測したデータを基に木材表面の色と試験実施場所の気候の関係性を明らかにした。求められた関係性により,提案する手法は温度,雨量,日射量を入力することで任意の地点での木材表面の色変化をシミュレーションすることができる。また,提案手法は建築物の外壁に取り付けられた木材表面の色変化シミュレーションができる。建築物の3D モデルを用意し,事前に遮蔽計算を行う。遮蔽計算の結果を基に提案手法への入力である,温度,雨量,日射量を各箇所で増減させることで,例えば,地面近くの木材では降雨の跳ね返りにより色変化が速い,というように,木材の周囲環境を考慮した木材表面の色変化シミュレーションができる。