著者
野村 崇
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

1.樺太・千島出土考古資料の集成国内の研究機関(同志社大学・国立民族学博物館・明治大学・日本大学・東北大学・市立函館博物館・北海道大学農学部博物館・北海道開拓記念館・帯広百年記念館等)に所蔵する樺太・千島出土の考古資料の写真、実測図による集成をおこない、それらの形態、寸法、出土状況、時代等を付記した集成資料を作成した。2.樺太・千島関係考古学文献目録の作成明治以降、現在までの日本語文献約300点、ロシア語文献約50点を収録した文献目録を作成した。3.北海道東北部の先史文化と樺太・千島の先史文化との比較研究北海道と樺太の関係においては、旧石器時代には共通性が多く、北海道産の黒曜石が樺太に持込まれている。縄文期においては、北海道からの影響は少ないが、続縄文期、オホ-ツク文化期においては相互の交流があり、同一文化圏を構成していた。また、樺太に従来ないとされていた擦文土器をクズネッオボI遺跡において確認した。千島との関係では、国後、選択両島以南において、縄文中期以降、北海道とほぼ同じ文化が展開したことがわかった。5.樺太出土黒曜石の年代および産地の同定樺太のド-リンクスI遺跡(旧落合)およびポロナイスク(旧敷香)地方ザパドナセV遺跡で出土した黒曜石を、フィッション・トラック法による年代測定・産地同定をおこなった。前者は北海道白滝産で、現在より13.900年前という測定値、後者は白滝および置戸産と判明した。5.樺太中部におけるサルゴリ文化の確認アム-ル河下流域の新石器時代末〜青銅器時代初頭にかけてのサルゴリ文化が、樺太中部ポロナイスク地方まで南下したことを確認した。
著者
横田 孝雄 柴田 恭美 野村 崇人
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.0708, 2009 (Released:2009-10-23)

維管束植物のうち裸子植物と被子植物の内生ブラシノステロイドはよく研究されており、茎葉、根、種子、花粉などから多種類のブラシノステロイドが同定されている。しかしながら、維管束植物のうち進化上、下位にあるシダ類の内生ブラシノステロイドについては確実な証拠が得られていない。本研究では、数種のシダ類についてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC-MS)を用いて内生ブラシノステロイドの分析を行った。調べた組織は、スギナ(Equisetum arvence)の栄養茎と胞子茎、ゲジゲジシダ(Thelypteris decursive-pinnata)の葉、ワラビ(Pteridium aquilinum)の葉、ゼンマイ(Osmunda japonica Thunb.)の葉である。その結果、すべての組織からブラシノステロイドが同定された。活性ブラシノステロイドとしては、すべての組織からカスタステロンが同定されたが,ブラシノライドは検出されなかった。カスタステロンの前駆体としては、種子植物と同じ種類のブラシノライドが同定された。各シダの内生ブラシノステロイドの特徴についてはシロイヌナズナと比較しながら議論したい。
著者
野村崇 宇田川洋編
出版者
北海道新聞社
巻号頁・発行日
2001
著者
秋山 秋梅 細木 彩夏 松井 亜子 橋口 一成 野村 崇治 近藤 隆
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第51回大会
巻号頁・発行日
pp.65, 2008 (Released:2008-10-15)

電離放射線の生体分子に対する作用は、主に、周辺の水分子の放射線分解によって生成する活性酸素(O2-、H2O2、•OH)を介した反応によって起こる。この場合、それらの活性酸素がDNA、タンパク質、脂質などと反応し、それらを非特異的に酸化する。したがって、放射線照射によって生じる活性酸素を迅速かつ効率よく消去できれば、放射線による細胞の障害は軽減できると考えられる。本研究の目的は、活性酸素を消去する酵素、superoxide dismutase(SOD)および細胞の酸化還元状態を維持する酵素、thioredoxinやglutaredoxinの細胞内での高発現によって細胞の放射線感受性を軽減(防護)すること、およびその機構を明らかにすることである。まず、ヒトのSOD遺伝子をcloningして、HeLa S3細胞にtransfectionし、安定した高発現細胞株を作成した。これらの細胞を用いて、放射線に対する細胞の感受性と応答について検討した。細胞質に存在するSOD1(Cu/Zn-SOD)の高発現細胞株は HeLa S3 と同程度の感受性を示したが、mitochondriaに局在するSOD2(Mn-SOD)の高発現株は HeLa S3 細胞より放射線抵抗性を示した。SOD1、SOD2 の高発現によって放射線照射24 時間後の細胞内の酸化ストレスレベルは HeLa S3 より抑制された。SOD2による放射線防護の機構は、生成した活性酸素の効率的な消去による細胞内の酸化防御と細胞応答の制御によるものの二つが考えられる。事実、SOD2高発現株では、放射線apoptosisの抑制や特定の遺伝子発現の誘導など興味深い現象が観察された。さらに、SOD2の高発現によって、核DNAにも損傷の減少が起こり、放射線に対する細胞の応答の複雑で巧妙なネットワークが存在することが分かった。
著者
大村 和香子 前田 恵史 谷川 充 桃原 郁夫 木口 実 吉村 剛 竹松 葉子 源済 英樹 野村 崇 金田 利之 三枝 道生
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.26-33, 2011
被引用文献数
3

日本産および外国産の15樹種の心材を用い,ヤマトシロアリおよびイエシロアリを対象とした室内試験により耐蟻性を評価した。さらに,各樹種試験体を全国9カ所の野外に非接地・非暴露状態で設置し,加害シロアリ種および気象条件と食害指数との関係を検討した。室内試験の結果,イエシロアリ,ヤマトシロアリに対して,耐候操作を経ないレッドウッド,スギ,カリーが,耐蟻性の指標に設定した耐蟻インデックス値80%を下回った。一方,耐候操作により,ヤマトシロアリではヒバ,レッドウッド,スギで耐蟻インデックス値が顕著に減少したのに対して,イエシロアリでは耐候操作前後における耐蟻性の相違は,ヤマトシロアリの場合ほど顕著には認められなかった。野外試験では,高比重の広葉樹材の中ではカリーが高い食害指数を示し,耐蟻性が低いと評価された。また試験地の違いによって,同期間の暴露であっても,供試樹種の食害指数が異なることが明らかとなった。
著者
冨田 雅典 小林 純也 野村 崇治 松本 義久 内海 博司
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第54回大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2011 (Released:2011-12-20)

線量率効果は、線量率が低くなると、総線量は同じでも、生物効果が低くなる現象であり、長い照射時間の間に亜致死損傷の回復が起こるためであると古くから考えられている。しかしながら、低線量率放射線照射下におけるDNA2重鎖切断(DSB)修復の分子機構は、いまだに十分解明されていない。高等真核生物では、DSBは非相同末端結合(NHEJ)と相同組換え(HR)により修復される。我々は、さまざまなDSB修復遺伝子欠損細胞を用いて、線量率効果におけるDSB修復機構の役割について検討を進めている。NHEJに関与するKU70、HRに関与するRAD54、およびKU70とRAD54をともに欠損したニワトリDT40細胞を用い、γ線連続照射に対する影響を解析した結果、低線量率域でもっとも高い感受性を示した細胞はKU70-/-細胞であった。この要因を広い線量率範囲で解析するために、京都大学放射線生物研究センターの低線量長期放射線照射装置を用いて重点領域研究を開始した。これまでの研究から、0.1 Gy/hのγ線照射下において、RAD54-/-、RAD54-/-KU70-/-細胞と比較して、KU70-/-細胞ではより顕著なG2 arrestが起こり、その後アポトーシスが生じることを明らかにした。今後、線量率を下げて変化を解析する予定である。 また、NHEJに関与するDNA-PKcsを欠損したヒト脳腫瘍細胞を用い、低線量率照射後の細胞生存率を解析した結果、照射開始後ある一定レベルまで低下した後は、照射を継続してもそれ以上変化しないことが明らかになった。この結果は、低線量率放射線の生体影響を考える場合、細胞のターンオーバーが重要な要因となることを示している。 低線量率放射線の組織への影響を考える場合、幹細胞への傷害の蓄積性が問題となる。特にdormantな幹細胞では、NHEJが重要な役割を担うと考えられ、NHEJを欠損したマウスの造血系幹細胞が加齢に伴い枯渇することも報告されている (Nijnik et al. 2007、他)。細胞での結果をもとに、低線量率放射線の生体組織影響におけるDNA修復機構の重要性について議論したい。
著者
野村崇 宇田川洋編
出版者
北海道新聞社
巻号頁・発行日
2001
著者
謝 肖男 来生 貴也 米山 香織 野村 崇人 秋山 康紀 内田 健一 横田 孝雄 Christopher S. P. McErlean 米山 弘一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.58-61, 2017-05-20 (Released:2017-05-20)
参考文献数
10
被引用文献数
41

トウモロコシが生産する根寄生雑草種子発芽刺激物質の1つを単離し,その構造を各種機器分析により,methyl (2E,3E)-4-((RS)-3,3-dimethyl-2-(3-methylbut-2-en-2-yl)-5-oxotetrahydrofuran-2-yl)-2-((((R)-4-methyl-5-oxo-2,5-dihydrofran-2-yl)oxy)methylene)but-3-enoate(1)と決定し,ゼアラトン酸メチルと名付けた.ストリゴラクトンの生合成前駆体であるカーラクトンの13C標識体の投与実験から,1はトウモロコシ体内においてカーラクトンから生合成されることを確認した.1は根寄生雑草Striga hermonthicaおよびPhelipanche ramosaの種子に対して強力な発芽刺激活性を示したが,Orobanche minorの種子に対する活性は100倍弱かった.