著者
木島 英夫
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

<p><tt> 過去40 年にわたる経験から、我々が研究を進める手法は中枢性の麻痺にたいして痙性発生を予防し、改善する効果があるものと考えられ、その機序の解明が望まれてきました。 </tt></p><p><tt> 我々は特定の一施設の入所者のみが、「インペアメントレベル(解剖学的機能損傷)からの日常生活自立」のためのリハビリテーションを実施でき、受益できるのではなく、日常生活を自立したいと願う全ての高齢障害者に提供できるよう願い研究を続けてきました。獲得した多くの公的研究助成を通じ、現在実施している我々の研究が社会に貢献できる日が近づきつつあると思っています。 </tt></p><p><tt> 研究を振り返ると、滝沢茂男氏は、政治家として大成することを嘱望された藤沢市の青年議員でした。高齢社会への深い洞察を持ち、広い視野を持っていたからこそ、誰も気づく事のなかった訓練結果と手法の特異性、そして手法のシステム化・プログラム化が可能なほどの合理性に気づき、市会議員の座を投げ打ち、引退する県会議長の出馬要請に応じることなく、この研究に取り組んできました。そして氏がこのプログラムを社会に提供するため持てる全ての手段を用いて奮闘する姿に感銘を受け、協力を惜しまず研究を共にしてきた多くの同志がおり、これら無私の活動の成果として、本日の講演会が可能になったと言えます。 </tt></p><p><tt> 氏の願いであり、我々の願いである「団塊世代高齢化による社会崩壊を防ぐ」が、手段提供の実現から国民意識の高まりを呼び起こし、実現できると確信しています。</tt><tt><b> </b></tt></p>
著者
木島 英夫
出版者
特定非営利活動法人 高齢市民が活躍するための社会技術研究会
雑誌
バイオフィリア (ISSN:21868433)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.99-100, 2015
被引用文献数
1

私はバイオフィリアリハビリテーション学会設立時に会長を務めた。それまで21世紀リハビリテーション研究会と称したが、初代会長は滝沢恭子氏、2 代は福井圀彦氏、3 代で名称が替り、記名の学会になった。学会設立時の就任挨拶で、「介護・依存から自立へ・2025 年で16%弱と想定される要介護老人の発生を10%以下にする。を実現するため、会員諸兄の一層の研究努力を期待致します。」と述べたが、国内ばかりでなく、世界に目を向けた活動を継続している状況は期待に違わぬ活動と喜んでいる。<br>私がこの学会の会長に就任したのは、「寝たきりをなくすという滝沢茂男氏の努力がどのような結果をえられるか見守る」ことが中心であった。<br>氏は、政治家として大成することを嘱望された藤沢市の青年議員であった。高齢社会への深い洞察を持ち、広い視野を持っていたからこそ、誰も気づく事のなかった訓練結果と手法の特異性、そして手法のシステム化・プログラム化が可能なほどの合理性に気づき、市会議員の座を投げ打ち、引退する県会議長の出馬要請に応じることなく、この研究に取り組んだ。氏がこの国際活動を国内学会の部会として立ち上げ、部会長を務め、さらには国内学会全会員合意の下、独立組織に再編して、理事長として活動を継続していることは望外の喜びである。<br>思えば、志をたて、親である滝沢恭子氏の実施しているリハビリテーションの方法をシステム化し、着実に世に出す努力を続けていた氏から、「泣き言」といってもよい「僕がドクターならはやいのに」との言葉を聞き、私が協力を申し出てから、20 年を経た。当時理学療法士の参加による組織としてかなりの実績をあげていたが、論文発表をする医師はいなかった。そのままでは個人の経験が個人の経験のままで終わってしまったことであろう。元日本臨床整形外科医会故金井司郎理事長と相談し、論文採用に向けて、氏を全国の臨床整形外科医会々員に紹介し、説明に当たってもらい、その後論文をまとめて、発表したことは忘れられない。多くの藤沢市内臨床整形外科医会々員の協力も得て発表したこの論文が、学会へ進歩する基礎となった。当時、学会への組織変更にあたり、「思いたつ者はいても実現できるものはほとんどいない」として、監事を快諾する医師や、ES細胞を利用した神経伝達機構の再生を研究する部会を提案する内科医がいた。 <br>氏の提唱する、高齢障害者の自立こそが、団塊世代の高齢化に伴う社会崩壊を防ぐとの認識は、時代の移り変わりと共に重要になり、識者の中では共通の認識になっている。神経伝達機構再生研究の提案は実現できずに終わったが、世界で活動する本学会の今後の焦点として、分子遺伝学からの脳機能再建が課題になっていると聞く。今回PubMed 登録にむけて、日本語論文集を再編し、世界の読者へ知識を提供することになった。我々のこれまでの研究がまだ陳腐化していないことは医学改革の困難さを示している。ぜひ広く英知を集め、簡単ながら、効果の高いタキザワ式リハビリテーションがリハビリテーション医療の中核になるよう読者各位の研究参加、普及推進を期待している。

1 0 0 0 ご挨拶

著者
木島 英夫
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.265, 2013

本調査研究の当初計画は,歩行器を用い,高齢者の歩行能力を維持し日常生活の自立をすすめるであった. 在宅での歩行器利用によるADL向上について,顕著な成績を上げ,終了したことは,高齢化が進み老後を心配する国民の不安を一部でも和らげるために,喜ばしい.テクノエイド協会から指導があり,「脳血管障害や下肢骨折を受傷した後でも,高齢障害者が自分で生活できる健康を取り戻すことを可能にする,老健施設で実施されているタキザワプログラムによる創動運動の実施に係る評価研究」を今回の研究に追加した.追加により,「介護・依存から自立へ」と題した我々の進めている研究を,研究助成の下で実施できたことは価値が高い. 研究結果が国民福祉向上に寄与できることを確信している. 藤沢市民病院開院以来高い効果を上げ続けてきた訓練手法の実施を,受傷後慢性期廃用性の後期高齢者に対し,藤沢市機能訓練会で藤沢の整形外科医師らが見てきたのと同様に,リハ医師をはじめ10人以上の専門家が実施現場で確認した. そしてその効果を,定性的評価とはいえ,評価し得たことは画期的である. 今後の研究の方向性,普及の必要性を公的に報告できたことは研究の進度に大きな影響を与える. 過去30年にわたる経験から,福祉用具研究開発実施(進捗)状況報告書に報告の通り,この手法は中枢性の麻痺にたいして痙性発生を予防し,改善する効果があるものと考えられ,その機序の解明が望まれる. 我々は特定の一施設に入所している入所者のみが,「インペアメントレベル(解剖学的機能損傷)からの日常生活自立」のためのリハビリテーションを実施でき,受益できるのではなく,日常生活を自立したいと願う全ての高齢障害者に提供できるよう願い研究している. テクノエイド協会の指導で研究し得たことにより,現在実施している我々の研究に新たな研究者の参加が可能になり,そして新たな研究者の参加は,研究をさらに促進するに違いない. 終わりに,滝沢茂男氏は,政治家として大成することを嘱望された藤沢市の青年議員であった. 高齢社会への深い洞察を持ち,広い視野を持っていたからこそ,誰も気づく事のなかった訓練結果と手法の特異性,そして手法のシステム化・プログラム化が可能なほどの合理性に気づき,市会議員の座を投げ打ち,引退する県会議長の出馬要請に応じることなく,この研究に取り組んだ. そして氏がこのプログラムを社会に提供するため持てる全ての手段を用いて奮闘する姿に感銘を受け,協力を惜しまず研究を共にしてきた多くの同志がいた. これら無私の活動の成果として,公的報告が可能になったとも言える. 氏の願いであり,我々の願いである「団塊世代高齢化による社会崩壊を防ぐ」を実現する為に,本年アムステルダムで開催される第一回世界リハビリテーション医学会(The International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)において,我々は共に,「創動運動による寝たきりからの歩行再獲得と,団塊世代高齢化による社会崩壊を防ぐ為の方法の提案」(Re-acquirement of walking from bedridden by motivative exercise and proposition of the solution to the aging crisis)を発表する. 我々の研究が本研究報告を契機に今後ますます実りあるものになる事を確信している.