著者
屋敷(土肥) 圭子 木曽 昭典 周 艶陽 岩崎 大剛 神原 敏光 水谷 健二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.274-280, 2009
被引用文献数
1

皮膚組織における皮下脂肪の増加は,リンパ管や血管を圧迫し皮膚のたるみやむくみなどのトラブルを引き起こすだけではなく,ボディラインを崩すセルライトなどを形成する。われわれは,植物抽出物のさらなる応用を化粧品に広げるために,皮下由来の脂肪細胞に対する分化誘導抑制作用および脂肪分解促進作用について検討した。本研究では,ヒト皮下由来の前駆脂肪細胞を用いて,分化誘導抑制作用について数種類の植物抽出物をスクリーニングした結果,オウレン抽出物とその主成分であるベルベリンに作用があることを見出した。さらに,前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞へ分化するさいに関与する遺伝子発現を解析した結果,オウレン抽出物およびベルベリンにこれらの遺伝子を抑制する作用が認められた。また,オウレン抽出物およびベルベリンには,成熟脂肪細胞に対して脂肪分解作用および熱産生関連遺伝子の発現促進作用を有することが明らかになった。本研究においてわれわれが検討したオウレン抽出物およびその主成分ベルベリンは,中性脂肪を増やさず,すでに蓄積した脂肪を分解することが期待され,ボディケア製品やスリミング化粧品などへの応用が示唆された。
著者
岩橋 弘恭 川嶋 善仁 村上 敏之 大戸 信明 屋敷 圭子 鳥家 圭悟 木曽 昭典
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.17-24, 2012

紫外線の暴露は皮膚に対してさまざまなダメージを与え,シミ,シワおよびたるみといった光老化を引き起こす原因となる。本研究では,UVBダメージ抑制作用を有するテンニンカ果実エキスの有効成分の探索と,新たな作用メカニズムの解明を試みた。テンニンカ果実から単離した成分であるピセアタンノールは,表皮角化細胞において細胞死抑制作用を示した。そのメカニズムの一つとしてDNA損傷抑制作用が認められ,代表的なDNA損傷であるシクロブタン型ピリミジンダイマー減少作用およびヌクレオチド除去修復遺伝子の発現上昇抑制作用もしくは発現促進作用を示した。さらに抗酸化作用として,表皮角化細胞に対するグルタチオン合成促進作用を示し,抗炎症作用としてプロスタグランジンE2産生抑制作用を示すなど,テンニンカ果実エキスと同様の作用が認められたことから,ピセアタンノールが有効成分の一つと考えられた。また新たにテンニンカ果実エキスにインターロイキン-1<i>&beta;</i>分泌抑制作用を見出した。したがって,テンニンカ果実エキスおよび成分であるピセアタンノールは紫外線によるダメージを抑制し,抗老化作用が期待できる素材であると考えられた。
著者
木曽 昭典 川嶋 善仁 大戸 信明 周 艶陽 屋敷(土肥) 圭子 村上 敏之 新穂 大介 神原 敏光 水谷 健二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.267-273, 2009-12-20 (Released:2011-12-21)
参考文献数
22
被引用文献数
2

皮膚の潤いを保つには,表皮の角層における水分保持機能およびバリア機能が不可欠である。これらの機能を発揮するため,セラミド,コレステロールおよび遊離脂肪酸から構成される角層細胞間脂質が重要な役割を果たしている。本研究では,セラミドの産生促進作用を指標にして,皮膚の潤いを保つのに有効な植物抽出物の検索を行った結果,甘草葉抽出物に表皮角化細胞においてセラミドの合成に関与する酵素であるセリンパルミトイルトランスフェラーゼおよびスフィンゴミエリナーゼの遺伝子発現を促進する作用,3次元培養皮膚モデルおよびヒト皮膚においてセラミド産生促進作用を見出した。さらに他の角層細胞間脂質であるコレステロール合成の律速酵素として知られるHMG-CoA還元酵素の遺伝子発現促進作用や表皮ヒアルロン酸の合成を促進する作用も認めた。また,甘草葉から単離した活性成分についても検討したところ,6-prenyl-naringeninが活性成分の一つであることが示唆された。これらの結果から甘草葉抽出物は,角層細胞間脂質や表皮ヒアルロン酸の合成を高め,多角的に皮膚機能を維持・改善するスキンケア素材である可能性が示唆された。
著者
屋敷(土肥) 圭子 木曽 昭典 周 艶陽 岩崎 大剛 神原 敏光 水谷 健二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.274-280, 2009-12-20 (Released:2011-12-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

皮膚組織における皮下脂肪の増加は,リンパ管や血管を圧迫し皮膚のたるみやむくみなどのトラブルを引き起こすだけではなく,ボディラインを崩すセルライトなどを形成する。われわれは,植物抽出物のさらなる応用を化粧品に広げるために,皮下由来の脂肪細胞に対する分化誘導抑制作用および脂肪分解促進作用について検討した。本研究では,ヒト皮下由来の前駆脂肪細胞を用いて,分化誘導抑制作用について数種類の植物抽出物をスクリーニングした結果,オウレン抽出物とその主成分であるベルベリンに作用があることを見出した。さらに,前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞へ分化するさいに関与する遺伝子発現を解析した結果,オウレン抽出物およびベルベリンにこれらの遺伝子を抑制する作用が認められた。また,オウレン抽出物およびベルベリンには,成熟脂肪細胞に対して脂肪分解作用および熱産生関連遺伝子の発現促進作用を有することが明らかになった。本研究においてわれわれが検討したオウレン抽出物およびその主成分ベルベリンは,中性脂肪を増やさず,すでに蓄積した脂肪を分解することが期待され,ボディケア製品やスリミング化粧品などへの応用が示唆された。