著者
塚本 定三 木本 達雄 マガリエス マルセロ 竹田 美文
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.1538-1542, 1992
被引用文献数
3

付着性大腸菌 (局在性) の検出をNataro et al.が報告したDNA (EAF) プローブを用いたコロニーハイブリダイゼーション法で試み, HeLa細胞への付着性と比較した結果, EAFプローブ法は感受性, 特難において培養細胞付着性を調べる方法と比べて遜色なかった.そこで, ブラジルの小児下痢症患者および健康者おのおの126名を対象に, 付着性大腸菌の検出を試みた.EAF陽性の大腸菌は下痢症患者のうち29名 (23.0%), 健康者のうち15名 (11.9%) から検出されたが, そのうちのおのおの23名 (18.3%), 7名 (5.6%) から分離されたEAF陽性菌をまEPECの血清型に属するものであった.そのため, EAF陽性でEPECの血清型に属する大腸菌は下痢症との関連性が深いものと想像された.検出頻度の高い血清型は055: H-, O111: H2, O119: H6であるが, これらはすべてEPECの血清型嘱するもので, そのなかでも0111: H2は下痢症患者のみに検出されたため, 他の血清型に比べて病原性が強いと思われる.また, EAF陽性でEPECの血清型に属さないが, 検出頻度が高かったO88: H25は下痢原性が疑われる.