著者
木村 草太
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アメリカ法とドイツ法の研究から、平等権と平等原則の内容を整理した。また、アメリカの最高裁判所、ドイツの憲法裁判所の判例研究からこの分野の訴訟における道具立てを整理した。これらを前提に、非嫡出子の法定相続分、ムスリム情報収集事件、公務員の政治活動、憲法における外国人の地位、アメリカ憲法第14修正の最新判例、自治体間の平等、一票の格差、同性婚、夫婦別姓について研究し、その成果を論文まとめた。
著者
木村 草太
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度は、採択課題について、諸外国の差別対策法理の研究を進めるとともに、研究業績を雑誌論文の形で公表した。また、秋には、学会にて、国内の問題状況についての研究報告も行った。まず、本年度は、ヨーロッパ人権裁判所、アメリカ連邦裁判所、ドイツ憲法裁判所の諸判例を研究した。分野としては、トランスジェンダーや同性婚に関するもので、諸外国と日本法の比較の上で、ベースラインの設定の仕方が異なる点などについて研究を深めた。公になった研究実績としては、専門雑誌に、平等原則と非差別原則を概観する論文を発表した。同論文では、同性婚などの問題については、いわゆる権利着目アプローチと、平等着目アプローチがあり、アメリカ法の権利着目アプローチには、幾つかの問題があることを分析した。また、日本の最高裁判例においては、平等原則と立法裁量の問題について、時間的視野のないままに、過去の不合理を解消するための立法裁量と、将来の不合理を解消するための立法裁量の区分の重要性を意識しないものがあり、同一の裁判官が、ある判例では過去の不合理解消のための立法裁量を認識しつつ、別の判例ではそれを認識しないという現象が起きている。最高裁判事レベルで、適切な理論の認識ができていない現状の問題も指摘できた。秋には、全国憲法研究会にて、特に沖縄問題について研究発表を行った。差別感情は、合理的配慮や適性手続の不足を招くことが指摘されており、沖縄米軍基地問題の歴史から、その点を研究する報告を行った。差別と構造的な類似性を示す問題として、政教分離問題がある。今年度は、専門雑誌に政教分離問題に関する研究も発表し、別分野の構造を分析し、研究分野の構造を明らかにすると言う手法での研究も実績として示すことができた。また、関連分野としては、権利主体たる子どもの問題にも取り組んだ。新しい研究分野を発見するきっかけとなると思われる。