著者
相川 浩一 木村 高弘 小池 祐介 山田 裕紀 頴川 晋
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.204-207, 2018-10-20 (Released:2019-10-18)
参考文献数
15

(目的) 陰茎折症は性行為に関連した稀な疾患であり,本邦においてまとまった報告は少ない.東京慈恵会医科大学附属病院では,近年16例の陰茎折症を経験したので,その臨床的特徴と合併症について報告する. (対象と方法) 2005年9月より2017年10月までの間に当院で陰茎折症と診断した16例を対象とした.発症誘因,症状,診断方法,治療方法,および術後の合併症に関して調査した. (結果) 年齢の中央値は41歳(22~67歳)であった.受傷起転の判明した15例のうち,性交渉中は5例(31%)で,4例(25%)は自慰行為中であった.尿道損傷が合併した症例は認めなかった.術前MRIを8例に施行し,所見記載を確認し得た7例すべてにおいて白膜の断裂部位が術前に診断可能であった.治療は全例で観血的手術を施行し,白膜の断裂を確認後に縫合を行った.術後は全例で勃起不全(ED)の合併は認めなかった.1例(6%)で術後陰茎屈曲を認めた. (結語) 陰茎折症は性行為,自慰によるものが多かった.全例外科的治療を施行し,手術後のEDの発症は認めず,陰茎屈曲を1例に認めた.中長期の男性機能評価,術後合併症に関しては経過観察期間が短く,更なる検討努力が必要である.
著者
冨田 雅之 前田 重孝 木村 高弘 池本 庸 大石 幸彦
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.247-249, 2002-04

69歳男.血塗れで倒れているところを発見され, 陰茎が切断され, 左上肢も受傷していた.創部の応急処置を行い, 患者の不穏が強いため, ハロペリドールを投与し, 陰茎は低温保存した.左上肢は橈側浅指屈筋腱が断裂し, 下腹部が著明に膨満, 超音波で膀胱内に著明な尿貯留を認めた.尿閉に対し緊急に膀胱瘻を増設後, 創部を処置した.自傷の可能性もあり, 陰茎再吻合は困難と判断し, 家族とも相談の上, 断端形成術を施行した.創部の経過は良好で尿道の留置カテーテルは術後16日目に抜去した.自己陰茎切断症は極めて稀な疾患で, 自験例を含め24例のみである
著者
都筑 俊介 三木 淳 森武 潤 木村 章嗣 下村 達也 木村 高弘 岸本 幸一 頴川 晋
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.106, no.2, pp.71-78, 2015-04-20 (Released:2016-04-23)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

(目的) 東京慈恵会医科大学附属病院および柏病院におけるT1 high grade膀胱癌の臨床的特徴を検討した. (対象と方法) 2006年1月から2012年12月までにT1 high grade膀胱癌と診断された134例を対象とした.治療経過,再発・進展,再発・進展予測因子,生存率について解析を行った. (結果) 観察期間中央値は31.5カ月.2nd TURは,57例に施行し,2nd TURでの残存は33例,upstagingは4例に認められた.再発率は41.5%,再発に寄与する因子は,初回TURで筋層を含まない,非2nd TURおよび非BCG注入療法の3因子であった.進展率は10.5%,進展に関しては,有意な因子を認めなかった.経過中に膀胱全摘を施行した症例は31例(21.8%)であり,全摘病理T stage別の癌特異生存曲線で非upstaging群(pT2未満)とupstaging群(pT2以上)を比較すると,非upstaging群で有意に生存率が高かった(p=0.0027). (結論) T1 high grade膀胱癌の再発に関して,初回TURで筋層なし,非2nd TUR,非BCG注入療法が重要な予後因子であった.多岐にわたる臨床経過を示すT1 high grade膀胱癌の治療成績向上のためには,再発,進展の予防,適切な膀胱全摘の選択など,今後さらなる検討が必要である.
著者
栢野 想太郎 佐々木 裕 木村 高弘 頴川 晋
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 = Acta urologica Japonica (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.329-333, 2018-08-31

Metanephric adenoma is a rare benign renal epithelial tumor. We have experienced two cases of metanephric adenoma. The first case was a left renal tumor found by ultrasonography in a 26-year-old woman. The abdominal computed tomography (CT) revealed a 90 mm mass that was enhanced slightly in the early phase, and enhanced further in the late phase. Laparoscopic radical nephrectomy was performed with suspicion of renal cell carcinoma. The second case was a right renal tumor found by CT imaging for heart disease in a 64-year-old man. An abdominal CT revealed a 30 mm mass that was the same as our findings in the first case. Laparoscopic partial nephrectomy was performed with the suspicion of renal cell carcinoma. In both cases, tumor cells are positive for WT-1 and CD57 in immunohistochemical staining ; the final diagnosis was metanephric adenoma. It is difficult to differentiate metanephric adenoma from renal cell carcinoma by preoperative imaging ; the diagnosis depends on morphological and immunohistochemical profiles.
著者
冨田 雅之 前田 重孝 木村 高弘 池本 庸 大石 幸彦
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.247-249, 2002-04

69歳男.血塗れで倒れているところを発見され,陰茎が切断され,左上肢も受傷していた.創部の応急処置を行い,患者の不穏が強いため,ハロペリドールを投与し,陰茎は低温保存した.左上肢は橈側浅指屈筋腱が断裂し,下腹部が著明に膨満,超音波で膀胱内に著明な尿貯留を認めた.尿閉に対し緊急に膀胱瘻を増設後,創部を処置した.自傷の可能性もあり,陰茎再吻合は困難と判断し,家族とも相談の上,断端形成術を施行した.創部の経過は良好で尿道の留置カテーテルは術後16日目に抜去した.自己陰茎切断症は極めて稀な疾患で,自験例を含め24例のみであるSelf-mutilation of the penis is extremely rare. A 69-year-old man was admitted after having amputated his own penis completely from its root. He had no history of psychiatric illness, but his physical condition on admission was abnormal. We performed urethrocutaneostomy, rather than replantation of the penis, because of the danger that he would reinjure himself. The patient was treated by a psychiatrist under a diagnosis of alcoholic dementia. To our knowledge, this is the 24th case of self-mutilation of the penis reported in the Japanese literature.