著者
木田 真美 吉越 仁美 小西 秀知 内海 さやか 佐藤 修一 小泉 勝
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.540-547, 2017-08-30 (Released:2017-08-30)
参考文献数
19

2型糖尿病患者は年々増加傾向で,加齢に伴い種々の臓器障害を合併する.腎機能障害が高率にみられる高齢者では,薬剤の選択・用量調整が重症低血糖回避のために必要となる.汎用されているDPP-4阻害薬の中で,胆汁排泄型リナグリプチンを75歳以上の39例に,新規・上乗せあるいはシタグリプチン,ビルダグリプチン常用量からの切り替え投与を行い,血糖及び肝腎機能,脂質の変動を観察した.75歳未満75例と比較すると,6か月後の血糖,HbA1cが新規および切り替え両群で有意に改善し,全体の改善度も高かった.Crea>1.0 mg/dLの腎機能障害例でもHbA1cは有意に改善し,肝腎機能悪化や脂質代謝異常,低血糖,体重増加その他の副作用もなかった.高齢2型糖尿病患者において,腎機能障害に関わらず,リナグリプチンは単一用量で安全に使用でき,有用な薬剤と考えられた.