著者
木西 實 高雄 真人 李 佳奈
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.151-154, 2004-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
3

声門後部または披裂部粘膜の発赤に注目し、胃食道逆流症によると考えられる慢性咳症例20例に対し、ランソプラゾール30mg/day×8 weeksを投与した。咳嗽が消失したのは9例、咳嗽が軽快したのが7例で、4例は不変であった。胸やけを自覚していた15例では8例で咳噺が消失し、6例で咳嗽が軽快し、有効率は93%であった。一方、胸やけを自覚しなかった5例では咳嗽が消失および軽快したのはそれぞれ1例で、有効率は40%にすぎなかった。胸やけを自覚し、声門後部または披裂部粘膜の発赤を認めた慢性咳噺症例に対し、プロトンポンプインヒビターであるランソプラゾール30mg/day×8 weeksの治療は有用であった。
著者
毛利 光宏 木西 實 天津 睦郎
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.483-488, 2000-11-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9
被引用文献数
4

1988年から1997年までの10年間に神戸大学医学部耳鼻咽喉科で治療した下咽頭扁平上皮癌新鮮例134例を検討し, 治療成績の現状と当科で行っている治療成績, QOL向上のための工夫について紹介した。134例中根治手術を行ったのは105例 (78%) であり, 残る29例では手術不能あるいは患者の拒否により放射線治療, 化学療法を行っていた。根治手術施行例の5年累積生存率は38.3%, 非施行例は19.3%で, 全体では34%であった。手術例の主な原病死因は遠隔転移, 局所・頸部再発であった。治療成績向上のために, 当科では1988年以来咽後リンパ節の郭清を77例に行い, 13例 (17%) に転移を認めた。N2cに高い転移率を認めたがN0でも10%に認め, 現在は全手術症例に行っている。QOL向上のためには, 喉摘後の音声再建として気管食道瘻あるいは気管食道瘻形成術を行い良好な結果を得ている。