著者
末武 康弘[訳] 木村 喜美代[訳] 酒井 茂樹[訳] 小田 友理恵[訳] 大迫 久美恵[訳] 宮尾 一憲[訳] 宮田 はる子[訳] 瀬戸 恵理[訳] 吉森 丹衣子[訳]
出版者
法政大学現代福祉学部現代福祉研究編集委員会
雑誌
現代福祉研究 = THE BULLETIN OF THE FACULTY OF SOCIAL POLICY AND ADMINISTRATION : Reviewing Research and Practice for Human and Social Well-being : GENDAIFUKUSHI KENKYU (ISSN:13463349)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.81-100, 2019-03-01

本稿は、Thinking Beyond Patterns: Body, Language, and Situation. (Gendlin, 1991) の日本語訳を試みるものである。原著については、The Presence of Feeling in Thought. (Ouden & Moen, 1991, New York: Peter Lang) の中に収録されていたジェンドリン執筆の同タイトルの章が抜粋され、The International Focusing Instituteより本の形で頒布されている。今回の訳出のテキストとして用いたのは、このThe International Focusing Instituteから頒布されている版である。心理臨床家としても哲学者としても名高いジェンドリン(1926~2017)は、2017年5月1日に90歳で亡くなったが、その哲学的な業績は多くの人に注目されながらも、まだ十分な解明が行われていない。私たちが訳出を試みる Thinking Beyond Patterns: Body, Language, and Situation. は、彼の哲学における初期の主著 Experiencing and the Creation of Meaning. (Gendllin, 1962/1997) と後期の代表作 A Process Model. (Gendlin, 1997/2018, この2冊はいずれもEvanston: Northwestern University Pressより新装版が出版されている) の中間に執筆された、これらに並ぶ重要な著作であり、特に彼が開発した理論構築法TAE (thinking at the edge) の哲学的な基礎を形成していると考えられるものである。A、Bのセクションと全11チャプター、計131頁(pp.21~151)からなる原著のうち、本稿ではセクションAのチャプターA-1の中の1~7節(pp.21~32)を訳出した。翻訳の作業は、法政大学大学院人間社会研究科末武研究室の博士後期課程ゼミの中で行った。初訳の担当を決め、その訳文をゼミにおいて全員で検討した。今回の初訳の担当者は、木村喜美代(1節、2節、3節)、酒井茂樹(4節)、小田友理恵(5節、6節)、大迫久美恵(7節)である。
著者
末武 康弘
出版者
法政大学現代福祉学部現代福祉研究編集委員会
雑誌
現代福祉研究 = The Bulletin of the Faculty of Social Policy and Aoministration : Reviewing research and practice for human and social well-being (ISSN:13463349)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.7-29, 2017-03-01

本稿の目的は、カウンセリングやサイコセラピーの中でフォーカシング(Gendlin, 1981)およびTAE(thinking at the edge) (Gendlin, 2004; Gendlin & Hendricks, 2004)を、他のさまざまな方法と多元的に組み合わせながら活用するための理論的な枠組みと手続きを示し、それを1つのガイドとして作成することである。フォーカシングとTAEを中心にして他のさまざまな方法を多元的に活用するための理論的な観点と手続きが論じられ、「多元的フォーカシングセラピー(pluralistic focusing therapy: PFT)のガイド」が作成された。
著者
末武 康弘 得丸 さと子(智子)
出版者
法政大学現代福祉学部
雑誌
現代福祉研究 (ISSN:13463349)
巻号頁・発行日
no.12, pp.141-163, 2012-03

本稿は、パーソンセンタード/フォーカシング指向セラピー(PC/FOT)の中で生起する現象について「セラピスト TAE 」―サイコセラピー実践を検討するために TAE をアレンジした方法―を用いた質的分析のパイロット研究の成果を報告するものである。共同研究者の1人はTAEを用いた質的研究法(得丸,2010a)を開発する中で、TAEがセラピストに重要な意味を与えることを見出してきた。そしてセラピストのためのTAEセッションが考案され、「セラピストTAE 」と名づけられた。「セラピストTAE」では、ガイドの助けを借りながらセラピストが自身の臨床体験やクライアントとの相互作用を分析し、セラピーについての理論化を試みる。このパイロット研究においては、PC/FOTのセラピストであるもう1人の共同研究者の、6名のクライアントとのセラピー体験と面接記録が分析された。
著者
末武 康弘
出版者
法政大学 (Hosei University)
巻号頁・発行日
pp.1-307, 2014-03-24

The purpose of this thesis is to investigate the whole content of Gendlin’s Process Model (Gendlin, 1997) and to elucidate the clinical significance of this model. Although it does not directly discuss issues in psychotherapy, Gendlin’s Process Model inspires us with clinical implications and suggestions. The contents of this thesis are as follows: Introduction PartⅠ: The Clinical Implications of Gendlin’s Process Model PartⅡ: The Decipherment of Gendlin’s Process Model PartⅢ: An Empirical Study to Illustrate the Clinical Significance of Gendlin’s Process Model Conclusion The whole content and the clinical significance of Gendlin’s Process Model are examined through theoretical and empirical study, including a new conceptualization of the process of person-centered/focusing-oriented therapy.