著者
末澤 保彦 田村 章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.94-99, 2008-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
29

通常, 食品の変敗において, ガスが発生し膨化する原因菌は酵母とされてきたが, 今回, のり佃煮のガスと異臭の発生は耐塩性乳酸菌であるLactobacillus fructivoransが原因菌であることを解説いただいた。次に, 味噌や醤油加工品などの耐塩性乳酸菌による変敗, さらに, 食品の変敗防止対策, 食品工場の微生物汚染防止対策についても解説いただいた。
著者
末澤 保彦
出版者
公益財団法人 日本醸造協会・日本醸造学会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.2, pp.69-78, 2010 (Released:2012-02-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1

減塩醤油は塩分濃度が9%程度であるので,耐塩性乳酸菌の生育によるガス発生変敗が大きな問題となる。従来,減塩醤油の変敗原因菌はホモ乳酸発酵型のLactobacillus属と知られていたが,種までは同定されていなかった。そこで,著者は16S rDNA配列決定法により,Lactobacillus renniniと初めて同定した。さらに,佃煮変敗菌として,ヘテロ乳酸発酵型のL.fructivoransとの比較も行った。従来の微生物検査に耐塩性乳酸菌検査を追加することにより,減塩醤油などの変敗が予知でき,さらに,PCR–DGGE法による製造工程の菌叢解析を行うことにより,変敗菌の有無の予測が期待できることを明らかにした。これらは減塩醤油などの低塩食品の製造に大いに参考となるので,ご一読いただきたい。